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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 23

「ふふ…、洋介さん気にしないでいいですのよ…」
 そういって、菫は少し淋しそうな顔をしながらも洋介に微笑みかける。
「さて…、続きをお話しないといけませんね…」
 そう言って菫は再び悲しそうな顔をして話を再開するのである。
「あれから暫くは2人は幸せそうでしたわ…。
でも洋介さんが2歳になる頃から2人の仲は段々悪くなっていきましたの…。
その理由は何と思います?普通の人が聞いたら『馬鹿じゃないの?』という様な事なのですが、それは洋介さんの育児の事に関してでした…。
2人は、どっちが洋介を抱っこするとか、どっちが一緒に風呂に入るとか、どっちが洋介にご飯を食べさせてやるとか…。
他にも色々ありましたけど、兎に角私だけじゃなく、私の両親を含め周りの全ての人が見て、羨ましい事で喧嘩をしてましたの…。
でも…、それから1年位して…。流石に2人も疲れたのか…、離婚の話が出ましたわ…。私から見ると、他の事では仲は悪くないのだから離婚なんかする必要ないじゃないと思いましたけど、2人にとって洋介さんの事はとても重要な問題だったみたいなのです…。
離婚の話が出て、今度はどちらが洋介さんを引取るかでもめていた時…。
その先生…、つまり貴方の実のお父様が不慮の事故でなくなられましたの…」
「えっ…!?」
 洋介は菫がまだ話をしている途中であったが、父親が死んだと聞いて驚きを隠さず声を出した。
 今までの話からして、その先生という人が自分の父親、つまり今まで育ててくれた父さんだと思っていたからだ…。
「ふふふ…。今まで洋介さんを育てて下さっていたお父様は本当の洋介さんのお父様ではないのですよ…。
そう…、洋介さんの本当のお父様が亡くなって、桜は悲しみのどん底でしたわ…。確かに洋介さんの事でもめて離婚の話まで出てましたが、やっぱり桜は洋介さんの本当のお父様の事をまだ愛しておりましたもの…。
でも…、私が今でも覚えているのは、洋介さんのお父様のお葬式の時の洋介さんの悲しみの顔ですの…。洋介さんはお父様の棺から最後まで離れませんでした…。あの時の洋介さんのあの姿は今でも忘れられませんわ…。
それから…、桜は悲しみながらも洋介さんを私が立派に育てていくと意気込んでいましたが、
私の両親…、つまり洋介さんのお爺様とお婆様ですわね…、兎に角2人がそれを許しませんでしたの…。
確かに桜にとっても、私にとっても、両親にとっても、洋介さんの事は本当に目に入れても痛くない程可愛かったのですが、今までの桜の姿と、葬式の時の桜の姿を見て、両親は子供が子供を育てる様では、洋介さんがだめになると考えまして、洋介さんを断腸の思いで手放しましたの…。

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