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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 22

いえ、貴方にとっては『今更』貴方をここに連れてきたのかを話さなくてはなりません…。でも…、初めに貴方の出生の事から話さなくてはなりませんね…」
菫は途中辛そうにしながらも言葉を続ける。
「貴方が生まれたのは16年前…。そして、私達が今の洋介さんと同じ16歳の時です…。
私達は高校受験の為に、家庭教師の先生に勉強を教えて戴いていましたの…。その先生は…、とてもお優しく、私達に親身になって勉強を教えて下さいました…。
何でもその先生は有名な大学の大学院の学生さんらしくて、勉強ができて、優しくて、しかも格好よかったんです…。
私達、特に桜はその方に恋をしてしまいましたの…。確かに私達もまだまだ子供でしたわ…。でもこんな素敵な人を好きになるのって不思議な事じゃないですわよね…!?
そして、桜はその方に自分の想いを伝えましたの…。あの時の桜の喜ぶ顔は今でも忘れられませんわ…『私先生に告白したの。そしたら先生ね、先生も私の事をずっと見てくれてたんだって』と。
私は桜が恨めしかった…。
私は勇気がなくてその先生に告白できなかったんですの…。でも…、結局それでよかったのかもしれませんわ…。
あれから暫くして、桜から困った顔をして相談がありましたの…『ねえ菫…。生理がこないの…。もしかしたら出来ちゃったかも…』って…。
私の気持ちはとても複雑でした…。私は桜に『誰との子供?』とは聞けませんでしたわ…。だって、誰との子供かを聞かなくても1人しかいないですもの…。
それから2ヶ月位すると、桜のお腹が段々目立ってきましたわ…。流石に両親も桜の異変に気づいたらしく、桜に問いただしてました…。
しかし…、それが誰とも子供かを聞くと両親は以外にも喜んでました…。その頃先生は両親のお気に入りでしたから…。
まだ中学生の桜が妊娠した事を責めないで、その先生との孫が出来た事を喜んでましたわ…。
ふふ…、本当におかしな両親でしょ…!?でも、その時の私は桜を殺してやりたい程憎かった…。『何で私じゃないの…?何で桜なの…?』と…。でも…、私には殺せなかった…。両親と、桜と、私の大好きな先生の喜ぶ顔を見たら…。
それから私はその地域でも有名な所謂『お嬢様学校』と呼ばれる高校に入学しましたわ…。
そして桜が16歳になった誕生日に、桜とその先生は結婚し、それから少しして元気な男の子を産みました……。
そして2人はその子供に『洋介』と名前をつけました…」

菫は少し疲れたのか、溜息をつきながら俯いている。
しかし、洋介は菫に何も言葉をかけてあげられなかった。
洋介の表情を菫は読み取った様だ。

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