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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 21

父さんは父兄参観とかは来れなかったけど、入学式や卒業式、運動会等には必ず来てくれました。だから自分には父さんがいるから寂しくなんか無かったです。それに、父さん仕事で忙しいはずなのに、なるべく早く帰ってきてくれて、宿題とか見てくれるんですよ?そんな父さんに我儘なんか言える訳ないじゃないですか…!?…だから…だから俺は淋しくなんてないんです…」

………

「確かに母さんがなぜいないのかは気になりますけど…、何で俺の事捨てたのか気になりますけど…、でも…、でも俺には父さんがいるんです…。いつもはダメダメだけど、俺の事を愛してくれる父さんがいるんです…!!」
 最後は叫ぶ様に言った洋介だが、その目尻には本人も気づかない内に涙が零れていた。
 菫は洋介の告白を聞き、涙を流してきたが、洋介の姿が余りにも哀れで自然と洋介を抱きしめていた。
「…洋介さん…、もう何も言わないでいいのよ…。これからは私達が貴方の事を守ってあげる…。もう絶対に淋しい思いなんかさせないわ…。だから…、もう何も言わないでいのよ…」
洋介はそう言われると、菫の胸の中で静かに咽び泣くのであった。


あれから暫くして、漸く洋介は落ち着いた様であったが、もう一人まだ号泣している人物がいた。
「ううぅ…、洋ちゃん…。ご免ね…」
「ああ、もう!あんたが泣く気持ちはわかるけど、一番辛いのは洋介さんじゃないの?あんたがそうメソメソしてたら、皆が悲しくなるじゃないの!」
菫が又泣きそうになりながら桜を叱っている。
菫も泣きたいのだが、一番辛い思いをしてきたのは洋介なのだと菫は自分に言い聞かせ、話を再開する。
「…洋介さん…。貴方をここに連れてきた本当の訳…。そしてなぜ先程私が貴方に母親の事を質問したかの訳をお話致しましょう」
そういって菫は静かに瞳を閉じ、深呼吸をしている。
洋介は大分落ち着いた様であった。洋介は桜が泣いているのは気にはなるが、この際菫の話の方が気になるらしく、ただじっと菫の方を見つめ話を聞く。
「…洋介さん…。私達がなぜあそこまでして貴方をここに連れてこないといけなかったか、そしてなぜ母親の事を聞いたのか、これには深い訳がありますの…。最初に結論から言わせて戴きます…」
「貴方の母親…、いえ…、私も本当はこんな事を言いたくはありませんけど、貴方にずっと淋しい思いをさせて苦しめてきた張本人が桜なのです…」
「……」
 そういって菫はまた泣きそうになる。
 洋介はというと、余りの驚きで言葉も出ない様だった。
「…洋介さん…。貴方が驚くのも仕方がない事だと思います…。でも…、なぜ今になって…、

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