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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 164

雪乃の手袋はよく見ると甲側が不自然に膨らんでおり、何かを仕込んでいるのに違いなかった。その拳を受けた郷子が、糸の切れた操り人形のようにがっくりと崩れ落ちる。
「あっ、郷子さん!」
「大丈夫ですか!?」
洋介や郷子の部下のメイドが慌てて叫んだが、失神したらしく、郷子はうつぶせに倒れたまま動かなかった。勝ち誇った雪乃が、高らかに言い放つ。
「おほほほほ! これで誰が洋介様にふさわしいメイドかはっきりしましたわね! ゴミムシはゴミムシらしく、地面と接吻でもしていればいいのですわ!」
腰に手を当て、乳房丸出しのまま郷子の後頭部を踏み付ける雪乃。それを見た郷子の部下達は一斉に雪乃に襲い掛かった。
「おのれ!」
「郷子さんの仇!」
拳を振り上げて雪乃に迫る彼女達だったが、当然、雪乃の部下達が黙って見ているはずもない。洋介を取り押さえている海女姫は動かなかったが、残った者は命を先頭に突進していった。
「「「行くぞおっ!!」」」
「ちょっと、やめ……」
こうなると、多勢に無勢の上、武器を持っていない郷子の部下達はどうにもならなかった。
洋介が制止の言葉を出す間もなく、まず数人が命に殴り倒され、残りも他のメイドの箒やモップでボコボコにされて地面に横たわった。
その様子を、雪乃は満足げに見渡した。
「よい眺めですわね。害虫が一掃されて……あっ、嫌ですわ洋介様。いくらわたくしが性的魅力に溢れているからと言って、じろじろと乳房をガン見するだなんて……」
「えっ、別に見てなんて……て言うかそれどころじゃないし……」
雪乃はわざわざ洋介の方に体を向けて乳房を見せ付けてから、恥じらうように横を向いて腕で胸を覆った。
「あの、雪乃さん……」
「洋介様、わたくしの胸が御覧になりたければ、『手をどけて乳を見せろ』と命令口調でおっしゃってくださらないと駄目ですわ」
「そうじゃなくて、もう決着付いたんですから、郷子さん達に手当てを……」
「はあ!?」
それを聞くと、雪乃は心外そうに眉をひそめた。
「害虫に手当をしてどうなると言うのです? 洋介様、しっかりなさってください」
「でっでも、このままって訳には……」
洋介が食い下がると、雪乃は「ふうん……」と少し考え込んだ。そして顔を上げる。
「まあ、いいでしょう。他ならぬ洋介様の御命令ですから、特別に医療班を呼びますわ」
「別に命令じゃないですけど……ありがとうございます」
雪乃に命令した、ということを否定しつつ、洋介は感謝した。すると雪乃は、ニヤリと笑って言った。
「その代わり、この後はわたくしに付き合っていただきますわよ?」
「うっ……」
洋介は何とも言えない、嫌な予感に襲われたが、もはやどうする手立ても残されていなかった。

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