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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 163

ほっと安心する洋介だったが、雪乃と郷子の決闘はその瞬間、始まってしまった。
「「いざ!!」」
雪乃は左右に軽快なステップを踏みながら、郷子の足に回し蹴りを飛ばした。蹴られた郷子はわずかに眉をひそめるが、痛そうな顔と言うほどではない。
「こざかしい!」
何回か蹴られた後、郷子は雪乃めがけて突進した。体を低く前にかがめ、両手で雪乃の足を捕える。そのまま肩を雪乃の腰に当て、押し倒すかに見えた。
が、次の瞬間、雪乃は捕られた足を無造作に後ろに引き、郷子の手から逃れてしまった。
「!?」
郷子が首をかしげる。何かしらの違和感を覚えているようだ。雪乃は後ろに大きく跳び下がる。再び二人は、距離を置いて対峙した。
「おほほほ。御自慢のタックルが不発ですわね、デルフリンゲル」
雪乃が挑発する。郷子はそれには反応せず、じりじりと距離を詰めた。
「ふんっ!」
再び雪乃が、郷子の足に回し蹴りを飛ばす。それを見切っていたのか、郷子は足を蹴られるのと同時に、両手でしっかりと雪乃の足首を掴んだ。
「今度こそ捕まえたわ!」
「それはどうですかしら?」
雪乃はクルリと回って郷子に背を向けると、またしても簡単に足を引き抜いてしまった。郷子は顔を真っ赤にして怒号する。
「メイド長! あなた足にオイルを塗ってるわね! この卑怯者!」
「おほほほほ! 相手の得意技を封じるのは喧嘩のイロハですわよ! そんなことも分からずに洋介様にお仕えしようなどとは、片腹痛いですわね」
(えっ? 喧嘩とメイドの仕事と何か関係あるの?)
洋介は心に浮かんだことを口に出すべきか迷ったが、海女姫や命に何かされるのが怖かったので、とりあえずやめておいた。
そうこうしている間に、決闘は流れが雪乃に傾いていた。組み付いて戦う技を封じられた郷子は、雪乃の拳や蹴りをどんどん喰らっていく。
「ぐっ……」
「ほらほら、どうしましたデルフリンゲル? 最初の勢いは?」
郷子も決してやられっぱなしではなく、素人目には相当なスピードのパンチを次々に放つのだが、殴る蹴るでは雪乃の方が一日の長があるらしく、ほとんど当たらない。
「このっ!」
ついに郷子が、両手を雪乃の胸元に伸ばした。足を掴んで倒すのを諦め、殴られるのを覚悟で胸倉を掴むつもりらしい。
彼女の手が、しっかりと雪乃のメイド服を掴む。ここなら滑りようがない。
(あっ、郷子さんが雪乃さんを投げる……)
洋介がそう思った瞬間、なんとしたことか、雪乃のメイド服がティッシュペーパーのように簡単に破けた。ブラジャーはしていなかったようで、並外れて豊かな乳房が露わになる。
「えっ……?」
「なっ……?」
なぜそんなに簡単に破れる? 洋介と郷子が茫然となった。もちろん、その隙を見逃す雪乃ではない。
「もらいましたわ、デルフリンゲル!」
狙いすました拳が、郷子の顎をしたたかに打った。

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