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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 161

見れば雪乃を筆頭に、数十人のメイドが満面に朱を注いで居並んでいた。2、3人を除いて、手に箒やモップを持っている。こんな場所で掃除をするはずはないから、武器として持ってきたのだろう。全員、喧嘩する気満々というわけだ。
「ゆ、雪乃さん、待ってください! これはですね……」
洋介は急いで一輪車から飛び降り、雪乃に弁解しようとする。しかし、洋介より先に前に出た郷子が、雪乃と対峙し、平然と言った。
「これはこれはメイド長。何かありましたか?」
「白々しい! わたくしを欺いて洋介様を連れ出し、破廉恥な行為に及んだ罪、重いですわよ!」
全裸の洋介を見て、雪乃は声を荒らげる。
「お仕えするご主人様の裸を衆目に晒すなんて……わたくしがもしそんなことをしたら、メイド服を脱いで、メイドを辞めますわ。はっきり言って、普通の考え方だと思いますわ」
「あの……俺、朝、裸のまま雪乃さんに屋敷の中連れ回されたんですけど……辞めるんですか?」
洋介が問いかけると、雪乃は爽やかに答える。
「そういう意味で申し上げたのではありませんわ」
じゃあどういう意味で言ったんだよ? という洋介の突っ込みが、言葉になることはなかった。郷子が洋介を手で制し、雪乃に再度話しかけたからである。
「どうやら、洋介様が誰のご主人様か、決着を付ける必要がありそうですね」
「ええ。今ここで、洋介様がわたくしの、わたくしによる、わたくしのためのご主人様だと証明して差し上げますわ」
「あの、俺、期限付きでこの島にいるだけなんで、誰のご主人様でもないんですけど……」
「「洋介様は黙っていてください!!」」
「……はい」
雪乃と郷子に一喝された洋介は、成すすべなく引き下がった。辛うじて、
「き、決めるならなるべく穏便に……」
と、餓死寸前の蚊が鳴くような声で言う。
だが、その言葉は誰の耳にも届いていないようであった。
「デルフリンゲル。ここは正々堂々、一騎打ちで勝負を決めますわよ」
「おや、メイド長。せっかくたくさんのお仲間を連れて来たのに、いいんですか? もっとも、烏合の衆が何人いたところで、ものの役に立たないでしょうけど……」
雪乃の申し出に、郷子が挑発で応える。
さらにそれを、フンと鼻で笑い飛ばす雪乃。
「おいでなさい、デルフリンゲル。その勇気があるのなら、ですけれど」
「当然お受けしますよ。終わってから後悔するのはメイド長です」
3m程の距離を開けて、雪乃と郷子が向かい合う。雪乃は半袖にミニスカートという、動きやすそうなメイド服を着ていた。白い手袋はしているが、ガーターやストッキングは着けていない。
これに対して、郷子は一般的な、長袖ロングスカートのメイド服だった。手袋はせず、素手である。
「来なさい。思い知らせて差し上げますわ、デルフリンゲル」

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