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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 159

「了解!」
「かしこまりました」
命と海女姫は、疾風のように部屋から出て行った。
それを見送ると、雪乃は机の引き出しを開け、ガソゴソと何かを探し始める。
「確かここに……ああ、ありましたわ」
ニヤリと不穏な笑みを浮かべた雪乃は、手早く何かの準備を始めた。

数分後。
屋敷の玄関には、命、海女姫を始め、おびただしい数のメイドが集結していた。
全員が表情に殺気を漲らせ、命、海女姫以外はモップや箒を手にかざしている。
もちろん、掃除に使うつもりでないのは言わずもがな。
なお、屋敷のメイド全てがここに集まっているわけではない。集まっているのは雪乃派のメイドであった。
木之花家のメイド達は、大きく言うと3つの派閥に分かれている。
まず、雪乃をリーダーと慕う雪乃派。
そして、雪乃を嫌い、隙あらばメイド長の地位から引きずり降ろさんとする反雪乃派。郷子がその筆頭である。
最後に、上の2つのどちらにも属しない中立派。
今のところ、雪乃率いる雪乃派が最大派閥である。
「皆さん」
ミニスカートのメイド服に着替えた雪乃が雪乃派メイド達の前に立ち、よく通る声で演説を始めた。
「すでにご存じの通り、デルフリンゲルがわたくし達の洋介様を勝手に連れ出しました。わたくし達は、黙ってこれを見過ごすべきでしょうか?」
「「「いいえ!!」」」
全員が一斉に叫ぶ。
「では、今すぐに洋介様を取り戻すべきでしょうか?」
「「「はい!!!」」」
「デルフリンゲルに血の制裁を加え、己の愚かさを思い知らせるべきでしょうか?」
「「「はい!!」」」
「よろしい。では出撃です。皆わたくしに続きなさい! 突撃!」
そう言うと、雪乃は外に向かってクルリとターンし、勢いよく走り始めた。
「「「ウオオオオオオッ!!」」」
雪乃派のメイド達が、各々の手にある凶器を振りかざしながら続く。
濛々たる土煙を上げながら、彼女達は島のどこかにいる洋介を探し求めて突進していった。

「何かしら? 騒がしいわね」
その頃、桜と菫は屋敷の一室に、メイド達と共にいた。
雪乃達の出撃の大音声を聞いた菫が首を傾げるが、桜はそれどころではないようだった。
「う〜ん……本当に頭が痛いわ……」
頭を抱えた桜は、苦悶の呻きを漏らす。
メイドの1人が、心配そうな表情で問いかけた。
「あの、桜様。もしかして生理痛では……?」
「桜の生理痛は、頭に来たことないわよ!」
しかし、菫がその質問を、一刀の下に斬り捨てる。
「どうせ洋介さんのことでしょ!?」
「そうよ」
桜は、実にあっさりと認めた。
「これとこれとこれ……どれがいいか迷っちゃうんだもん」
桜の前の大きな机には、何着もの服が広げられていた。
チャイナ服やナース服、ドレス等、女性物ばかりである。
しかし、その大きさは、普通の女性が着るには明らかにオーバーサイズであった。

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