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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 152

躊躇している場合ではなかった。今の状況、パラシュートで降りる以外助かる道はないのだ。洋介はかがんでレバーを探すと、右手を伸ばしてそれを握った。
「レバー、ありました!」
「そのまま、持っていてください。私の合図で引いてください」
「あの、グレイシアさんは……?」
「墜落した飛行機が地上に被害を与えないよう、適当な方向に機首を向けてから脱出します。洋介様は、どうかお先に」
「……はい」
最後まで他人の安全を気遣うグレイシアの責任感に、洋介は心を打たれた。先に脱出するのは心苦しいが、彼女を困らせないよう、指示に従うことにする。
「着地のスピードは意外に速いです。足を挫かないようお気を付けになってください。訓練を受けておられない洋介様には、いきなりの降下で申し訳ありませんが……」
「何とかします。いつでも合図してください!」
「どうかご無事で……今です!」
「くお!」
洋介は腕に力をこめ、レバーを引いた。途端に操縦席を覆うガラスのドームが吹き飛び、洋介の全身が凄まじい風に晒される。
「ううっ!」
そして次の瞬間、洋介は体が下から突き上げられるのを感じた。離陸したときと同じだが、激しさは比較にならない。彼は一瞬、視界が真っ暗になったような気がした。

 …………

「はっ!」
ふと我に返る洋介。どうやら気絶していたようだ。気が付くと、体が下からの風にあおられている。
「おおっ!?」
風ではなかった。洋介自身がゆっくりと下に落ちているのである。上を見上げると、オレンジ色のパラシュートが大きく広がっていた。
(そうか。俺はあの飛行機から脱出して、今降下の真っ最中か!)
下を見ると、まだかなりの高さがあった。着地まで、少々間がありそうだ。
(そうだ。グレイシアさんはどうなった?)
洋介は空中を探し始めた。体勢は変えられないものの、動かせるだけ首を動かして空中に目を凝らす。すると、少し離れたところに同じ色のパラシュートが開いているのが見えた。彼女も無事、脱出できたようだ。
(やれやれ。二人とも助かったか。ん? 待てよ。これはひょっとして、あれをやるチャンスかも……)
現金なもので、二人とも無事に済みそうだと分かると、妙な考えが洋介の中に持ち上がった。その考えとは、洋介が長年構想して実行に移せなかった空中浮遊オナニーである。
「よし。やるぞ」
洋介は空中を降下しながら、胡坐をかくように両膝を外に張り出した。そして両踵でペ○スを挟み込み、前後にしごき始める。手を使わないのは、下から誰かが見ていたとき、オナニーをしていることがばれにくいようにであった。
「はぁあぁ」
徐々に性感が高まる。絶頂に達するのが早いか、地上に落下するのが早いか。なかなかのスリルだ。

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