PiPi's World 投稿小説

華が香るとき
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 147
 149
の最後へ

華が香るとき 149

「あ、あの飛行機……」
「こっちに来るわね……」
「今洋介様が、乗っておられるんですね」
「そうね。あのパイロット女と二人きりで……」
ややぼやき気味の会話を交わすメイド達。そのうちに一人が、郷子に話しかけた。
「そう言えば郷子様、ここでやるデモンストレーションって何でしたっけ?」
「さあ、何だったかしら……?」
郷子も首を傾げる。彼女達は風力発電所での小細工に力を注ぐあまり、それ以外の発電所がどんなデモンストレーションをやるのかを、あまり把握していなかったのだ。
だから、郷子達は知らなかった。
パラボラアンテナに座っていいのが、昨日までの話であることを。
ガクン!
突然、郷子達は異様な衝撃を感じた。自分達が座っているアンテナが上昇しているのだと悟るのに、コンマ数秒の時間がかかる。
「キャッ!」
「え!? 何!?」
「みんな降りるのよ! 急いで!」
郷子の絶叫と前後して、メイド達はバラバラとアンテナから飛び降りた。全員降りたのを確認して、郷子も地面に降り立つ。
「何なの、一体……?」
ググググ……
郷子はせり上がっていくアンテナを振り返り、呆然と見詰めた。

丁度同じころ、太陽熱発電所のコントロールルームではデモンストレーションに向けた最後の調整が行われていた。コンピューターの前に座った八潮の部下達が、次々に報告を上げていく。
「反射鏡制御装置、異常ありません」
「第1防衛島のレーダー施設から、カーチス機の位置情報が送られてきました。途中で何か変な動きをしていますが、おおむね計画通りです」
ここで少し本筋を離れ、島の安全保障について説明させていただく。
桜が所有するこの島の近くには、他にも島がいくつか存在しており、この島同様全て桜の所有となっていた。そしてそれらの島は、テロリスト等の襲撃を撃退するために、軍事施設化がなされていたのである。
軍事施設化された島は防衛島と名付けられ、レーダーやミサイル発射装置、滑走路、軍港等が整備されていた。この島にも小規模なレーダーやミサイル発射装置等がないわけではないが、VIPの来訪するリゾート地であることを考慮して、景観を損ねないよう最小限の規模に止められている。
飛んでいる物に太陽熱発電所の鏡で光を当てるとき、役割分担は次のようになっていた。
まず防衛島のレーダーで、目標の位置をおおまかに捕捉し、その情報を太陽熱発電所に送る。
そして太陽熱発電所では、送られた情報に従い照準レーダー(例のパラボラアンテナ)を目標に向け、正確な位置を把握する。その情報を元に鏡を動かし、反射した太陽光を目標に集めるのである。ここにあるレーダーだけで用が足りればいいのだが、生憎そうなってはいなかった。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す