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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 147

こともなげに、グレイシアが答える。
「この飛行機の後ろには、高性能カメラが設置されています。そのカメラが撮影した映像を洋介様の前のモニターに映しますので、ごゆるりとご鑑賞ください」
「はあ……」
改めて前を見ると、確かにそれらしいモニターがあった。今は何も映っていないが、これを使うのであれば、吹き流しを見ることができるだろう。しかし……
「あの……今更言っても遅いのは重々承知なんですけど、映像だったら電波飛ばして地上からでも見られますよね?」
「ではいよいよ本番です!!」
「あうう……」

…………

一方その頃、郷子達は屋敷内で洋介の服を探していた。郷子自身も部下のメイドに指示を出した後、自分も捜索に加わった方がよいと思い、屋敷まで戻ったのである。ところが、彼女がどこを探しても目当てのものは一向に見つからず、発見したという部下からの報告もなかった。
「どこにもないわね……」
もちろん洋介の部屋に置いてあるのは分かっているし、桜、菫の部屋にも当然あるだろう。だが、洋介の部屋に行けば、絶えず交替で見張っている雪乃の部下に見つかる恐れがあった。
また、桜や菫の部屋を訪れたところで、事情を隠したまま渡してもらえるとは到底思えない。
「……そろそろ限界ね」
彼女は、捜索を打ち切らざるを得なかった。洋介や桜、菫の部屋に近づかなくても、このまま複数人で探し回っていては、いずれ誰かに怪しまれるのも時間の問題だろう。
「仕方ないわ。あのとき洋介様がお脱ぎになったものを回収しましょう」
郷子は窮余の一策として、洋介が屋敷を出るとき着ていた服を拾って持って行くことにした。地面の上に放置されたので少なからず汚れているだろうが、この際背に腹は代えられない。
彼女は携帯電話を取り出し、慌ただしく文字を打ち込んでメールの文章を作成した。次のような文面である。
『全員服の捜索は中止! 最初に洋介様に抱いていただいた場所に集合! デルフリンゲル』
どうやら郷子の脳内では『押し倒し服を剥ぎ取って無理やり関係を持った』という事実が、『抱いていただいた』に変換されているらしい。しかしながらそれに異を唱える者がいるはずもなく、彼女は部下のメイド達にメールを一括送信すると、自身が指定した場所へと急いだのである。

「みんな、揃ってるわね」
郷子が到着すると、すでに部下達は全員集結していた。彼女達は郷子が現れたのを見ると、口々に問いかけてくる。
「郷子様。洋介様のお洋服は……?」
「どうしたらいいでしょうか? 屋敷の中はもう……」
「落ち着きなさい」
焦る部下達を、両手で制する郷子。部下達が静かになると、彼女はおもむろに自分の考えを説明した。
「ここに散らばっている、洋介様のお洋服を持って行きましょう。多少汚れているけど、この際やむを得ないわ」
「えっ……?」
「でも……」

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