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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 146

スーッ……スーッ……
アクロバット飛行から解放された洋介は、腹式呼吸で鼻から空気を出し入れし、肉体を正常な状態に戻しにかかった。そして薄れかかっていた意識が回復したとき、彼は再びデモンストレーションのことをグレイシアに訊ねたのである。
「カー……いや、グレイシア。それで、デモンストレーションっていうのはどんなのなのかな……?」
「ああ、はい。それはですね……」
一呼吸おいてから、グレイシアは説明を始めた。
「発電所の鏡はご覧になったと思いますが、あの鏡はコンピュータによって動かされていまして、太陽がどこにあっても反射した光が塔の先端に集まるようになっています」
「ええ。それ、八潮さんに聞きました」
「そして、コンピューターのプログラムを変更すれば、塔の先端以外に光を当てることも可能なのです」
「ははあ」
何故だろうか。そこまで聞いて、洋介は微妙にいやな予感がした。
「そこで今回、塔ではなく動くものに光を当て、そのコンピューター制御の性能を洋介様にご覧いただくことになりました」
「ど、どうやってでしょうか……? って言うか、その性能って意味あるんですか? 塔以外に光当ててもしょうがないですよね?」
「テロリスト等が万が一この島にミサイルを撃ってきた際、光の熱で迎撃できるよう作られたそうです。もっとも完成した後で、晴れの日の昼間以外に使えないことが判明し、お蔵入りになりましたが……」
(作る前に気付けよ!)
そう心の中で突っ込む洋介だったが、グレイシアに言っても仕方ないので、
「そ、そうでしたか……」
と相槌を打つのに止めた。そしてグレイシアはさらに話し続ける。
「しかし、今日の洋介様へのデモンストレーションで、その性能もようやく日の目を見ることができます。これより音速で移動する標的に光を当てますので、よくご覧になってください」
「ええと、その標的って……」
洋介が訊ねる。よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの口調で、グレイシアは答えた。
「はい。この飛行機が引っ張る、吹き流しです」
うわーお。
洋介は戦慄した。聞くからに危なそうな話である。しかし、やる気みなぎるグレイシアの様子を見ると、中止してくれとは言えなかった。
(まあ、この飛行機が撃たれるわけじゃないし、大丈夫だろう……多分)
しかし、飛行機の後ろにある吹き流しをどうやって見るのだろうか。この体勢では首を回しても真後ろは見えないし(世の中には首を180度回せる人もいるが、洋介はその技術をまだ習得していなかった)、飛行中にシートベルトを外すのは当然NGだろう。
疑問に思った洋介は、その辺りも聞いてみることにした。
「吹き流しって言いましたけど、どうやって見たらいいですか? ここからじゃちょっと見えにくい気が……」
「御心配には及びません、洋介様」

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