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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 142

(まずまずかな。今の動きは……)
冷静に振り返る洋介。八潮や郷子達は大喜びで拍手を送ってきたが、さすがに照れ臭いので、これは気付かない振りをした。
「洋介様。お見事でした。恐れ入りますが、シートベルトを締めていただけますか?」
「あっ、はい……」
操縦席のグレイシアに言われた洋介は、シートベルトを締めようと体を動かす。ところが、この飛行機のシートベルトは車のものと違い、複雑な作りになっていた。とても一人では締められそうにないと、洋介は途方に暮れる。
「え、ええと……」
「洋介様。お手伝いいたします」
「あっ。八潮さん」
いつのまにか八潮が洋介の後から、足場を登ってきていた。彼女は「その金具を前に……」とか「そのベルトは右の脇を通して……」とか、ベルトを締める手順を的確に説明する。ところが困ったことに、ベルトのうちの2本程が股の間を通すようになっていた。せっかく毛布を巻いたままここまで来たというのに、これでは締めることができない。
「ど、どうしたら……」
「仕方ありません、洋介様。毛布はお取りください」
「えっ? でもこれを脱いだら俺……」
「わかっています、ですが時間もありませんので我慢して下さい。服は洋介様が飛んでいる間に下にいる者たちに取りに行かせますので。それに飛んでいる時は誰にも見られませんので」

「えっ…あぁ…っ」

洋介が反応に困っていると八潮が毛布をはぎとってしまった。しかもグレイシアは後ろを向いて凝視していて、さらには毛布をはぎとられたことに気付いた郷子が足場に登ってこようとしている。
しかしそのとき八潮が後ろを振り返り郷子に毛布を投げつけて言った。

「さぁ、今のうちに洋介様の服を取りに行きなさい。」

郷子が投げつけられた毛布を取り反論しようとすると、追い討ちをかける様に八潮が言った。

「外で洋介様を襲い、服も着せずに一輪車の高台に乗せて見せしめにした、とお聞きしたら桜様は何と仰るでしょうねぇ。地球の裏側で済むかしら… まぁ何にせよ雪乃さんはお喜びになる事でしょう」

そんな事を言われた郷子は血相を変えて部下のメイド達に命じた。

「皆で服を探していらっしゃい。その方が早く見付かるでしょう」
そしてその後に小声で
「もちろん洋介様のお部屋に戻る様な危険な真似はダメよ」
と付け加えた。

するとメイドたちは走って服を取りに行った。それを見届けた八潮は洋介の方に向き直し

「これで取り合えずは安心ですね」
と言った。
しかし洋介は心の中で
(いや、今全裸だし。それにグレイシアさんはなんかずっとこっち見てるし…どこが安心なんだろ)と思った。

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