PiPi's World 投稿小説

華が香るとき
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 138
 140
の最後へ

華が香るとき 140

「よせこのっ!」
グレイシアが叫んだ。洋介のためにと手入れしてきた自慢の乳房が、地面に押し付けられてひしゃげ、無残に泥で汚れていく。だが八潮の方がさらに悲惨だった。今までの恨みとばかり、メイド達に頭を何発も殴打されたのである。
「痛い! 痛い! あなた達、この私にこんなことをしてただで済むと……」
「黙りなさい」
「「!?」」
二人が顔を上げると、郷子が傲慢な態度で両手を腰に当てていた。
「洋介様のお言葉を無碍(むげ)にするとは、何という無礼な人達でしょう。当然の報いです」
「えっ?」
郷子の言葉を聞いた洋介は、妙な違和感を覚えた。郷子さんも確か、あんまり俺の言うこと聞いてくれなかったような……
「洋介様、何か?」
「いやその、別に……」
言いたいことを、洋介はあえて口に出さなかった。代わりに
「お二人を、解放してあげてください」
と郷子に頼み込む。すると彼女は、苦虫を噛み潰したような表情になった。
「洋介様……何故こんな女達の味方を……」
小声で恨み言を吐く郷子。だが、さすがに今の今言ったことを翻すわけには行かないと思ったらしく、部下達に「離してやりなさい」と命令した。
「「…………」」
それを聞いたメイド達が不満そうな顔付きで離れると、八潮とグレイシアは何事か呻きながらよろよろと立ち上がった。頭がクラクラするのか、八潮は首を二、三度振る。グレイシアは体(主に乳房)に付いた砂粒を、両手で払い落とした。
(行けるか?)
二人の様子を見ながら、洋介は慎重に空気を読んだ。
このまま場を放置していれば、おそらく彼女達がキレ出すか、あるいは郷子が余計なことを口走るかして、またまたややこしい事態になるだろう。
それを防ぎ、この太陽熱発電所の見学を無事終わらせるためには、今動くしかないと洋介は結論付けた。彼はまずグレイシアに話しかける。
「カーチスさん」
「えっ? あっ、洋介様。助けていただいて恐しゅ……」
「服を着てください」
洋介に声を掛けられたグレイシアは、受け答えしながら右腕を胸に付け、乳房を隠そうとしているのか強調しているのかよく分からない動作をした。洋介はそれをあえて無視し、地面に落ちていたジャケットを拾って彼女に手渡す。
「あの私としては洋介様に……」
「女の人に、裸で操縦してもらうわけには行きません。それに……多分サイズが合わないですから。飛行機には、このままで乗らせてもらいます」
「そうですか……お気遣い、痛み入ります」
グレイシアは納得し、ジャケットを再び着込んだ。ひとまず争いの原因を取り除き、洋介はほっと一息つく。
(第一段階クリアだ。次は……)
「八潮さん」
「はっ、はいっ!」
洋介に語りかけられた八潮は、直立不動の姿勢になって返事をした。
「俺のためにいろいろと済みません。もしよかったら、デモンストレーションの方、お願いできますか?」

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す