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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 115

郷子は雪乃が洋介を浴場で搾り取ったことを申し訳なく思っているらしい。だが別に郷子には関係ないことである。洋介はそう思ったが郷子の口は止まらなかった。
「全くあの女はメイド長の職権を濫用してやりたい放題…我々一部のメイドは以前から憂慮していました」
「はあ…」
「あの女は本当に強欲で狡猾で…洋介様もさぞ迷惑しておられるのではないでしょうか?」
「いやその、それは……」
口調こそ穏やかだが、郷子は露骨に雪乃を罵倒する。どうやら相当に雪乃を嫌っているようだ。
どう対応したらいいか分からない洋介は、「はあ…」だの「へえ…」だのと適当に相槌を打ちながら発電所への道を歩き続けた。



その頃、雪乃は…
「よくお休みのようですわね、洋介様は…」
すっかり待ちぼうけを食らっていた。今の所、洋介が部屋から出てきたという部下からの報告はない。
「少しご奉仕し過ぎましたかしら。これからはほんの少しだけ控えた方がいいかも知れませんわね…」
雪乃は自分のやらかしたことに比べれば雀の涙ほどの反省をした。もっともそれも一日経てばきれいさっぱり忘れていることだろう。
「洋介様がお目覚めになったら、今度はああしてこうしてご奉仕を…フフ、今夜は徹夜かも知れませんわね」
訂正。一分と持たなかった。
彼女はまだ知らない。
すでに洋介が郷子に連れ去られていることを。

「では始めに、風力発電所へとご案内いたします」
「はい…」
一方その頃洋介は、郷子に腕を取られたまま、森の中のそれ程広くない一本道を歩いていた。ある所から登り坂になり、そのままどんどん上っていく。
「郷子さん、風力発電所って高い所にあるんですか?」
「はい。高い所ほど風が強く、風車を置くのに都合がいいそうです」
「そうですか…」
それを聞き、これは疲れそうだとげんなりする洋介。すると、そんな彼の耳にブオンブオンというかすかな音が聞こえて来た。
(あれはもしかして、発電所の風車が回っている音じゃないだろうか?)
音の大きさからして、まだ少し距離はありそうだと洋介は思った。だがそう遠くではない。これならもうじきたどり着くと考えた時、どういう訳か急に郷子が立ち止まった。
(ん…?)
洋介は怪訝に思って問い掛ける。
「どうしました、郷子さん?」
すると郷子はとんでもないことを言い出した。
「洋介様。いきなりで恐縮ですが、本日ご案内いたします報酬を前払いしていただきます」
「前払い!?」

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