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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 114

「実は今、ナンヨウユキノゴキブリの駆除を行っておりまして…お部屋の外に薬剤を撒いております。申し訳ないのですが、こちらから…」
「そ、そうですか…」
一人で目を覚まし、知らずに外に出ていたら豪(えら)いことだったと洋介は内心戦慄した。窓に近寄って首を出してみると、そこには梯子が立てかけられている。どうやらメイドはこの梯子を使って部屋に入ってきたらしい。外には数人のメイドが立ってこちらを見上げており、そのうちの二人が梯子を支えていた。メイド達は洋介に気付くと一斉に顔を輝かせる。
「洋介様だわ…」
「ついにお会いできたのね…」
「ど、どうも…」
ブンブン手を振ってくるメイド達に、洋介は頭だけで会釈をした。窓から首を引っ込めてポニーテールのメイドの方に向き直る。
「先に降りてもらえますか?」
相手がスカートをはいているので、洋介は自分が後から降りることを申し出た。
「いいえ、洋介様が先に降りてください。メイド達がみな洋介様をお待ちしていますので…」
「そうですか…」
洋介は窓から身を乗り出して梯子を降り始めた。別に高所恐怖症という訳ではないのだが何となく落ち付かない。
下からメイド達のギラギラした視線が突き刺さってくるのだ。
後からポニーテールのメイドも梯子を降りてくる。洋介が上を見ないように注意していると急に上の方で「キャッ!」という悲鳴が上がった。
「!?」
足でも踏み外したのか。洋介は反射的に上を見上げた。特にメイドに何か起きたようには見えない。だが見ないようにと気を付けていたスカートの中身がもろに目に入ってしまう。
「ぶっ!」
「し、失礼しました…」
メイドは恥ずかしそうにスカートを押さえた。洋介もバツが悪い心持ちで下を向き顔を赤くする。
「こ、こちらこそ…」
彼の目には今見た光景がしっかりと焼き付いてしまっていた。
(スカートの下、何も着けてなかった…)
洋介は頭を振って邪念を振り払い、梯子を最後まで降り切った。後から降りてきたメイドがスカートの端をつまんで優雅に一礼する。
「申し遅れました。私、郷子(さとこ)・デルフリンゲルと申します。本日は洋介様のご案内係を勤めさせていただきます」
「よろしくお願いします、郷子さん」
洋介はお辞儀を返した。
「早速ご案内します。こちらです」
郷子は洋介の左腕を取って歩き始めた。残ったメイド達は洋介の左側に固まって歩く。位置関係からして、何だか洋介が屋敷から見えにくいようにしている感じである。
(何でみんなそっちを歩くんだろう?)
洋介が疑問に思っていると、郷子が話しかけてきた。
「洋介様、今朝方は申し訳ありませんでした…」
「……何が?」
郷子の言葉の意味を理解しかねた洋介が聞き返す。
「メイド長が洋介様にご無礼を働いたようで…同じ洋介様にお仕えするメイドとして恥ずかしい限りです」
「いやその、別に郷子さんが謝らなくても…」

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