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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 113

だが切れ目なく通りかかる雪乃の配下達を、二人のメイドは内心で嘲笑う。
((フフフ…せいぜい無駄に見張っているがいいわ。あなた達が気付いた時には洋介様はもう…))



それからしばらくの時が流れる。洋介はふと、誰かの声が聞こえたような気がした。
「……さま……さい…」
「ん…?」
「洋介様、お目覚めください…」
誰かが肩を優しく揺さぶっている。洋介はうっすらと目を開けた。一人のメイドが洋介の肩に手を置き、彼の顔をのぞき込んでいる。
黒く長い髪をポニーテールにした長身の女性で、どことなくエキゾチックな印象だ。ハーフなのかも知れないと洋介は思った。
「あなたは…?」
「お休みの所申し訳ありません、洋介様…」
「いや、別に…」
中途半端な所で起こされたものの、洋介は不快ではなかった。むしろ今朝のことを思えば、毎朝の起床もこうあってほしいと思う。
ただ、こんな時間に起こされるということはおそらく何かあるのだろう。洋介は若干身構えた。
「あの、何か俺にご用でしょうか?」
「はい。実は本日、洋介様に島内の発電所を視察していただくことになっておりまして…恐れ入りますがご足労願えないでしょうか?」
「発電所の視察…」
発電所と聞いて洋介はいささか不安になった。聞くからに重そうなツアーである。元気一杯の時ならいいが、今のコンディションでは途中で眠くなったりしないだろうか。だがメイドはそんな洋介の心中を見透かしたように言葉を続ける。
「各発電所では洋介様に楽しんでいただくためのデモンストレーションを準備しております。退屈はなさらないかと」
「そ、そうですか…」
洋介の中で、発電所という言葉とデモンストレーションという言葉はうまく結びつかなかった。だが自分を迎える準備をしてくれているとあっては出向かないわけにはいかない。洋介は発電所を見に行く決断を下した。
「分かりました。伺わせてもらいます」
「よかった…洋介様にお越しいただければ従業員一同、きっと喜びます」
メイドは洋介の言葉を聞いてほっとしたようだ。洋介はベッドを降りて大きく伸びをする。眠る前より少しばかり体が軽い。これなら何とかなりそうだ。
「洋介様、お着替えを…」
メイドはタンスの中から洋介の服を取り出した。さらに洋介が服を着替えるのを手伝ってくれる。
「それじゃ、行きましょうか」
傍らに置いてあった櫛で簡単に髪を整え、洋介は扉の方へと歩き出した。だがメイドが彼の手を掴んで引き止める。
「あっ、お待ちください!」
「え?」
「申し訳ありません。今日は扉ではなくてこちらから出ていただけないでしょうか…」
振り返る洋介に、メイドは何と開いた窓を示した。当然洋介は困惑を隠せない。
「どうしてまた…?」

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