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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 109

「…………ええ……分かったわ…」
菫は名残惜しいのか時間を置いて漸くそのメイドに返事をする。
「桜、そろそろ行かなきゃ。母親のあんたが『お母さんはちゃんと仕事をしてるよ』って姿を見せないと、洋介さんに格好がつかないわよ。それにちゃんと仕事をしないと、洋介さんとの時間が取れなくなるわ。きちんとする事をして、後でゆっくりと楽しみましょう」
菫は今の状態の洋介から目を離すのが非常に辛いのだが、仕事が差し迫っている現状、そして「(もう一人の)親」としての体裁があるので、泣く泣く桜を説得する。
「……そうよね…こんな姿を見たら、洋ちゃんも私の事を嫌いになるよね…」
そう言うと桜は自分の頬を両手で叩き、気持ちを入れ換えメイド達に指示をする。
「貴女達、洋ちゃんの事しっかり面倒を見てね。さっきみたいに洋ちゃんが一人になる様な事があったら絶対に許さないから!…いいわね?」
メイド達は桜の指示を受け、「はい」と気持ちを引き締めて返事をするのであった。
 
「洋ちゃんご免ね…ママ頑張ってくるから!」
「洋介さんご免なさいね…行って参りますわ…」
桜と菫が交互にまだ目が完全には覚めない洋介にキスをして部屋を出て行く。
二人とも無理に笑顔を作ってはいるが、やはり後ろ髪を引かれる様な思いだった。
桜と菫は実は先程の会議の時、重要な問題が発生していたのだが、少し休憩の為に席を立ったのだ。
そこに洋介が問題を起こしたのである。


「……。…あれ…何でこんな所で寝てるんだろう…」
洋介が目を覚ますと、周りにいたメイド達が一斉に洋介に寄り添ってくる。
「洋介様、お加減は如何でしょうか!?」
洋介は何が起きたか覚えてはいないが、周りにいるメイド達の血相が普段とは違うので、また自分が何かやらかしたのだと理解する。
「すみません…俺、また何かしましたか…?」
「いえ…洋介様は何も悪くは無いのです」
メイド達には洋介の言葉が自己犠牲にしか聞こえず、その優しさからまた涙を流す者まで現れる始末である。
「洋介様…お疲れでしょうから、少しお休みになられて下さいませ」
メイドの一人が洋介に寄り添うと、周りにいたメイド達も手伝い、洋介をベッドの方へ連れて行くのであった。


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