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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 108

洋介の変わり果てた姿を見た桜が、我を忘れて再び洋介を抱きしめようとするが、その寸での所で菫が「桜、ちょっと待ちなさい!!」と言って、桜を羽交い絞めにする様な形で引き止める。
「あんたまた洋介さんの息を止めるつもり!?
私達には時間が無いのに、これ以上私の心配事を増やさないで頂戴!!」
菫の必死の止めの言葉が効いたのか、桜は「洋ちゃん、ご免ね…」としょんぼり泣くのみであった。
 
 
「う…ん…」
それから5分程して、漸くこちらの世界に洋介が戻ってきた。
実は洋介が目を覚ましたのは、洋介にとってあちらの世界で緊急的な問題が発生したからである。
初め洋介は何とも言えない心地良い感覚に捕われていて、「このまま死ぬのもいいかぁ…」などと暢気に考えていた。
しかし、お花畑の上で寝転がっていると、急に目の前に爺ちゃんが現れたのである。
「ぐふふ…洋介よ、よく来たな。爺ちゃんに会いに来てくれたんだろう?爺ちゃんの事を愛してるってのは分かってたからな。よし、ご褒美にチューをしてやろう」
洋介は急に現れた祖父にまず驚き、そしてチューをされそうになって慌てふためいた。
「うおっ!爺ちゃんキモいっ!こんなクソジジイのいる世界になんて居られるか!!」
そうして洋介は逃げる様にして帰ってきたのである。
洋介にあの世とこの世を自由に行き来出来る能力があるか…そこはツッコミを入れないで欲しい…
 
さて、話を戻すが、洋介は菫の腕の中にいた。
桜がどうしても洋介を抱きしめたいと言い張ったが、菫が先程の桜を見ていて、意地でも許さなかった。
菫は洋介を抱いている時、心配そうな「叔母」の顔をしていた。
桜でも勿論「母親」の顔をするだろうが、雪乃と違って裏で「ニヤリ」としない所が二人の違う所だろう。
「洋介さん…良かったですわ…」
菫の目には涙が浮かんでいた。
桜も相変わらず泣き続けていたが、安心したのか洋介の胸に顔を押し当て泣いている。
「桜様、菫様、申し訳ありませんがお時間ですので…」
一人のメイドが雰囲気をぶち壊す様な事を言い出す。
しかし、そのメイドも言葉とは裏腹に目には涙を浮かべているので、本当に時間が迫っているのであろう。

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