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華が香るとき
官能リレー小説 - その他

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華が香るとき 104

「えっ!?そんな身の程知らずの学生がいたの?
……ちょっと待ってね、本人と教師に確認するから…」
菫はそう言うと一旦受話器を置き、教師を呼ぶ。
「ちょっと先生いいかしら?」
教師は突然菫から呼ばれて体をビクっとさせる。
それは普段同じ島にいるとはいえ、桜や菫は恐れ多くて中々会えない上に、会えたとしても緊張して話す事が出来ない位尊敬する存在だからだ。
「…私でしょうか、菫様…」
「そうそう貴女よ。…それでね、ちょっと聞きたいんだけど、私達がここに来る前に洋介さんに向かって、『汚らわしいから処分して欲しい』って言った学生がいるみたいなのだけど本当かしら?」
菫は一見普通の顔をして話しているが、その表情の裏には明らかに怒りがともなっており、その教師からは見えない拳は握られ、ワナワナと震わせている。
そして、菫の言葉を聞いたメイド達も洋介の様子を見て安心していた顔から、一気に険しいものに変わったのだった。
「…は…い…本当でございます…」
何故桜と菫にその事が知れたのか教師には到底想像もつかないが、事実が知れた今、彼女は顔を真っ青にして今にも倒れそうになっている。
「申し訳ありません、私です。私が言ったんです!私が洋介様とは知らずに……でも言ったのは本当ですから……ううぅっ…」
洋介に罵言を浴びせた張本人の学生が菫の前に出てくると、必死に土下座をして、泣きながら菫に謝る。
「…桜、聞こえたかしら?」
菫はいつの間にか受話器を再び持っており、その真相を桜が聞いたか確認する。
「ええ、聞いたわ。洋ちゃんではなくて、貴女に謝るなんて…一体どんな教育を学校ではしてるのかしらね…私ね、こんなに言葉が出ない位怒りを覚えたのは初めてよ」
 
周りにいるメイド達はというと、怒りをその女生徒に向け、中には殴りかかろうとしている者までいる。
「貴女、何様のつもり!?洋介様のお陰でこの島に居られる事が分かってそんな事を言ったの!?」
正確には「洋介様のお陰」ではなく、「桜様・菫様のお陰」なのだが、そこは敢えて触れないでおこう。
メイド達からは罵言・暴言が絶え間なくその女生徒に向けられ、彼女はただ「ご免なさい…ご免なさい」としか言えなかった。

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