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逆転!関が原
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逆転!関が原 10

「それならば、《中老》の職には是非とも東軍に付いた豊臣恩顧の勇の者達も就けて頂きたい」と三成は力説した。
「私と加藤清正や福島正則等の間の諍いが家康に付け込まれ、豊家の危機を招いたのです。彼等も一度職に就けば、秀頼君の為に働いてくれましょう」
この発言により、《中老》には大谷吉継、加藤清正、加藤嘉明、福島正則、脇坂安治の5人が新任、《奉行》には石田三成、長束正家、増田長盛、前田玄以の4人に小西行長が新たに任命された。

「これで豊臣は安泰か?」
「若君、某の考えでは東国、北国は徳川が勢力を保っており、必ずしも安泰とは言いかねます。」
「修理殿の申されるとおりにございます。」
「某もそう考えております。」
西軍の大名達は徳川への危機感をあらわにした。
「相分かった。」
「若君?どうされるおつもりですか?」
「東国成敗を視野に入れ、連日教練に励むように。そして真田の忍者や北の矢面に立つ大谷などに見張らせよう。」
「はっ。」
真田昌幸、大谷吉継は頭を下げた。
「もし徳川に不穏な動きあらば、東国成敗を命ずる。そのときの総大将は毛利殿、頼むぞ。」
「……お言葉ながら…」
輝元が躊躇しながら口を開いた。
「申してみよ。」
「そのときは秀頼様、否豊臣の殿様が総大将となろうかと思われます。副大将は宇喜田秀家殿、参謀長は石田殿が宜しいかと存じます。」
「我を総大将に?」
「豊臣家には歴戦の将が数多居ります。また、我々は全力を持って戦わせていただきます。指揮は御大将秀頼君がお執りになるべきであります。」
毛利輝元の言葉に一同は言葉を失った。まだ若い秀頼も、唖然として言葉が出なかった。ここで口を開いたのが大野治長であった。
「毛利殿の言う通りにございます若様。」
「我には戦争の経験が……」
「若様、我々がついております。」
豊臣譜代の将が一斉に膝を進めた。
「うむっ。一度事あらばそち達の助言を求めるぞ。」
秀頼が力強く言った。
「お任せください。」
譜代の者は目を輝かせそう言った。
「我らもお忘れなく!」
顔をほころばせた豊臣恩顧の大名や西軍大名を見て秀頼ははにかみながら
「期待しておる。」
と言った。
この後、一門・家臣合わせて百万石以上の石高とそれを上回る勢力を残した徳川一門であったが、太閤秀吉の猶子であった徳川秀康は自らが範となって、徳川方の不満を抑え、豊臣との融和を諮り、旧家臣達に他の大名への仕官を薦めて、日本に束の間の平和をもたらすべく努力した。
それに対し、関白・豊臣秀頼や五大老・五中老・五奉行も秀康の考えに理解を示した。浪人と化した旧徳川方の家臣を積極的に登用していった。その為に秀康が慶長12年に病に罹って死去する迄は徳川一門や家臣に対して不満を抑え続ける事が出来た。

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