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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 6

家康の周りには既に数百程の兵しか残って居ない。
しかし西軍は毛利勢・長宗我部勢・石田勢だけでなく、宇喜多勢・島津勢・大谷勢も烏頭坂を突破して来た為、万を越える軍勢が家康の首級を狙って集まりつつあった。
また東軍の軍勢は潰滅して逃亡するか、南宮山の北側を通り垂井方向に離脱を始めており、新たに家康を守る為に駆け付ける軍勢は最早この関ヶ原には存在しなかった。
家康は肩の痛みを堪えつつ起き上がると、側で家康を守っていた《槍半蔵》こと渡辺守綱に声を掛けた。
「平八郎(忠勝)や万千代(井伊直政)が生きておっても、恐らく間に合うまい。半蔵、時を稼げ。事が終える迄石田や毛利を一歩も近付けるな」
その命を受けた守綱は生き残った馬廻を率いて西軍を食い止めるべく駆出し、周りには本多正純や土井利勝らの側近のみが残る。
家康は鎧を外し、脇差を抜きながらポツリと呟いた。
「信康が生きておれば無理をせずとも天下を狙えたものを…」
1579年の信康自刃を家康は悔いた。しかし今はそれどころではない。下手をすれば西軍の雑兵に首級を挙げられてしまう。
「御大将の邪魔をするものは一人も生かさん!」
周囲で決死の反撃をする家康譜代の将達に対し西軍は敬意さえ表し、猛攻撃を控えた。家康には切腹させようと考えたのだ。
家康は辞世の句を詠んだ。
「《嬉しやと再び覚めて一眠り、浮世の夢は暁の空》こんなものかの。…良いか正純、信康は死に、秀忠があの体たらくでは、徳川を継げるのは秀康しか居らん。儂が死んだら降伏して、秀康を奉じて徳川を守れ。…あ奴なら秀吉の養子だったから受けも良かろう。潰される事は有るまい」
そう言うと脇差を一気に腹に突き立てた。苦悶の表情を浮かべたが、
「ま、まだじゃ」と腹を真一文字に切り、更に縦に腹を切っていく。十文字に切り終ると吐血しながら叫んだ。
「正純、介錯せい!」
「上様、御免!」正純は渾身の力で家康の首級を落とした。
家康が自刃したことを知った東軍の各武将は手勢を引き連れ退却を開始した。本多、松平、井伊は西軍の大部隊に囲まれ降伏した。
「さて、こやつ等をどうされますか?輝元殿、否、御大将。」
「うむ……三成殿ならどうされる?」
「私なら使えるものは使い、そうでない物は流刑にでもいたしましょう。」
「儂もそう考えておった。ではとりあえず主だったものを捕らえ大坂に移送するのだ。」
一方で大谷勢、宇喜多勢、小西勢は江戸城に向かいこれを包囲した。島津勢は黒田と雌雄を決すべく九州へ向かった。

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