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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 5

家康は最初固辞していたが、忠勝の必死の説得で撤退を決意した。
「まだ負けたわけではない……」
そう繰り返しながら家康は関が原からの撤退を始めた。
しかし、
「狸親父を逃がすな!」
毛利秀元が本多勢を撃破し、長宗我部勢と安国寺勢が家康を追い始めた。
「ここは我らが手柄を挙げるときぞ!」
西軍の士気高揚はとどまることなく、ついに勝敗がつき始めた。
しかし烏頭坂を下るには、追う西軍は余りに大人数過ぎた。細い列状になって下っていく長宗我部・安国寺勢や毛利輝元勢に埋伏した徳川方の鉄砲隊や弓衆が効果的に攻撃を加えた。だか勢いの増した西軍は次々とそれを排除する為、烏頭坂は両軍の兵の墓場の様相を呈した。しかしその犠牲により徳川家康は馬廻に守られつつ遂に烏頭坂を下り切った。
「これで後は木曽川さえ越えれば…」そう思った家康の右前方に2千程の軍勢が見えた。
「味方か?…いやあの旗は三成か!」
その《大一大万大吉》の旗を掲げる石田勢は、烏頭坂から家康が逃げる事を読んだ石田家の軍師・島左近が負傷しながらも主君の三成に授けた策であった。三成は家老の舞兵庫(前野忠康)と共に笹尾山から天満・松尾の2山の西側を迂回し烏頭坂の出口に現れたのだ。
「この一戦で家康を滅ぼし、秀頼君を御守りするのだ!突撃ぃ!」
一斉に石田勢が家康の馬廻を攻撃する。しかし反撃するにも西軍の各軍勢に手当てした上に坂での迎撃に兵の大半を残した為に、家康を守る兵は瞬く間にその数を減らした。

さらに後方から長宗我部勢が追撃し始めたとの情報が家康の元に入った。
「やあやあ我こそは長宗我部盛親なり、名ある武将はどこぞ!出会え出会えぇっ。」
「もはやこれまでか・・・」
家康が覚悟を決めかけた。
「本陣を固め、何としても家康殿をお守りするのだ。」
「一気に狸の首を落とすのだ!」
東西両軍の決死の衝突。馬の上げる砂煙と鉄砲の硝煙で辺りは殆どものが見えなくなった。
ついにこの戦いの雌雄が決しようとしていたのだ。
さらに西軍総大将毛利輝元が家康本陣に襲い掛かってきた。そして、
ズドーン
西軍の足軽が家康に向けて鉄砲を撃った。
「ぬうっ!」
家康はよろめき仰向けに倒れた。しかし弾丸は家康の肩を負傷させただけであった。

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