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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 30

『ズドゥゥン』と衝突音と度重なる爆発音を立てながら2隻づつ激突されて、密輸船には舷側に穴が開き次第に火が引火していく。
それを見た者達から『ウオォーッ』と歓声が上がる。
それでも密輸船はどうにかこの場から逃走を謀ろうと試みる。
それを見ながら自らの策が成就した政宗が上気して命じた。
「よし、艦隊は奴等に止めを差すのだ!絶対に逃がすなよ!」
未だ無傷の《和泉》と《河内》が燃え上がる密輸船に容赦ない砲撃を加える。
あっという間に2隻の密輸船は波間に消えた。
「流石正宗殿……。」
三成はうなった。
「いやいや《同航戦》を行う発想は三成殿の発想でござろう。」
《常陸》の船上で二人は戦勝を喜びながら互いを称えあった。
「よし、三成殿、先ずはこの勝ち戦を利根川を挟んで徳川の残党と睨み合う味方の軍勢に知らせてやろうではないか」
「そうですな、『南蛮船、房総沖にて難破沈没』とな。きっと秀頼様も御喜びに為られるであろう…」
感慨深げに語る三成に向かって、政宗はもう一つ提案する。
「それとだな、利根川の睨み合いを打開する為に古河城の我が軍勢に先手を任せて貰えんかな?」
「先手を?しかしながら本隊は未だに利根川の南岸に居るのだ。今のままでは4万対10万の争いになる。流石の伊達勢でも少し辛いのではないか?」
「しかしながら南蛮船を沈めた今こそが攻め時なのだ。きっと陸の軍略を練る真田殿も同じ考えの筈だ」
「確かにその通りだが…」
三成は砲撃戦になった場合の損害の多さを予想して難色を示す。
「三成殿、何も伊達勢のみで戦をする訳では無いのだ。伊達勢が先ず口火を切り暫く粘って見せる。その間に南岸の味方が渡河して包囲すれば良いのだ」
「成程!島津殿が使われる《釣り野伏》に近い形になるな!」
「恐らく伊達が先陣に就く時点で真田殿も直ぐにその手を考える筈。後は如何に迅速な渡河・包囲が出来るか…だな」
 
こうして、三成と政宗の乗船する《常陸》から利根川南岸の豊臣本陣と古河城の伊達勢に早馬が向かった。
そして伝令からの《伊達勢出陣》の連絡で政宗・三成と同じ作戦を考える人物が2人存在した。
1人は豊臣の軍師である真田信繁、もう1人は政宗の腹心・片倉備中守景綱である。

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