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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 29

そう言って三成を褒めた政宗は軍配を翳しながら艦隊に命令を発した。
「よし、面舵一杯!我らも舳先を南に向けつつ間合いを詰めよ!大筒が届く間合いに為ったら各艦砲撃を始めろ!前の敵船は《常陸》と《摂津》、後ろの奴は《河内》と《和泉》が担当しろ!」
手旗で信号を送りあった艦隊は右に舵を切って南に向けて航行して行く。そしてある程度距離が近付いた処で並航しながら御互いに砲撃を開始、日本初の艦隊の同航戦が始まった。
大砲の威力は密輸船の方が大きいのだが、伊達・豊臣方はカルバリン砲の砲撃が至近弾を多く出し、戦いを優位に進めている。
そして初めて同時に命中弾が当たると戦場を驚愕が襲った。
密輸船のカノン砲の砲弾が《摂津》の3本マストを1本叩きおり、水夫が一緒に海に落ちていく。
だが、《常陸》が放ったカルバリン砲の砲弾が密輸船の1番艦に命中した途端、爆発して周りの人を吹き飛ばした。砲弾が真田信繁が考え出した炸裂弾だったのだ。
火災が起きたが直ぐに消し止めた。
それでも文明後進国と思っていた日本に、互角以上に戦える軍艦が4隻も存在する事がよほどショックだったのか、密輸船は浦賀水道、つまり外海に向けて逃走を始めた。
「よし、奴等を浦賀の瀬戸に追い込んでしまえ。浦賀の大筒隊と洲崎の水軍に狼煙で連絡しろ!」
次第に戦場は南に移り川崎沖から神奈川(現在の横浜)沖、更には横須賀沖に移動していく。その間も御互いに砲撃を繰り返し何発かの命中弾を与えていたが、未だに航行不能の艦は出ていなかった。
そして、富津沖から右に舵を切って浦賀水道に入った時に密輸船に全く予想外の砲撃が命中した。浦賀の海岸からカルバリン砲の砲撃が命中したのだ。
「よし、密輸船に更に砲撃を加えろ!味方の船に当てるなよ!奴等を安房の方に押し込んでしまえ!撃てぃ!」
砲撃を指揮する木村重成が更なる攻撃を指示して、艦隊と地上から砲撃を繰り返す。しかしどちらも密輸船の右舷側で有り、それを避ける為に取舵を切り左に…つまりは東側の房総半島側に近付いていく。
そして浦賀から離れて安心した時に左前方から4隻の大型の安宅船が近付いて来た。
これこそが洲崎から出てきた政宗の策を仕上げる水軍なのだ。
気付いた密輸船が砲撃を加えるが全く止まる気配を見せずに突っ込んで来る。すると右側を航行する伊達・豊臣艦隊が増速しながら取舵を切り、密輸船の回避ルートを塞いだ。そして左側の安宅船の船員が船に油を撒き火を付けながら海に飛び込んで避難し、近くの関船に救助されていく。
南蛮船は避ける道を塞がれて砲撃で沈める事も間に合わずに《火船》と化した安宅船が衝突する。

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