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逆転!関が原
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逆転!関が原 28

政宗と三成は伊達家の南蛮船《常陸》に乗艦、後続に同型艦になる豊臣家の南蛮船《摂津》・《河内》・《和泉》の3隻を従えて江戸を出港した。
「政宗殿、あの密輸船をどのような手を用いて沈める所存か?」
と三成が質問を発した。
「先ずは江戸湾の最奥になる利根川の河口は海も浅く人目に付くからな。先ずは三浦辺り迄引っ張り出そうか」
利根川はまだ銚子ではなく現在の江戸川の方を流れている。密かに沈めるには確かに目立ち過ぎるのだ。

「出そうか…って秀頼様にあんなに自信が有る事を言って、実は策が浮かばぬと言うのでは有るまいな?」
元々かぶき者の様な性格の政宗の軽い口調に、謹厳実直な三成は思わず顔をしかめて苦言を呈する。
「関白殿下に御迷惑になる様な事には為らぬ。策は考えて有る。但しその手を使うには浦賀の瀬戸(現在の浦賀水道)の辺り迄奴等を引摺り出さねばならんのだ。問題はそこ迄この4隻が無事かどうかだな」
そこで政宗は浦賀の瀬戸に張り巡らせた策を三成に説明する。三成はその策に納得をした様で政宗に語り掛ける。
「うむ、その手が嵌まれば密輸船は相模の海に沈める事が出来よう。しかしこの手を江戸湾で行うのは難しかろう」
「それはそうだ。この策は外海で敵を見つけて浦賀の方に追い込むつもりだったからな。九鬼殿は利根の河口で沈める所存みたいで有ったが、秘密裏に沈めて皆殺しにしなければ、この日の本の国がイスパニアやポルトガル、オランダやエゲレス(イギリス)に攻められる口実に成り兼ねん。この策は必ずや我らだけで成さねば為らぬ。関白殿下の御手を絶対に汚しては為らぬのだ」
その発言を聞いた三成は感動して政宗に語り掛ける。
「正しくその通りだ。真田殿も同じ様な事を言っておられた。政宗殿、今度こそ徳川も南蛮船も屠って太閤殿下が御望みであられた《天下惣無事》を果たそう!」
「判っておるよ。その為にも、あの2隻をお主の頭で浦賀の瀬戸まで引摺り出してくれ」
と政宗が指差した東の方角、浦安沖に南蛮船が2隻遊弋している。彼等の方も艦隊に気付いた様に舳先を南に向け始めた。
「うむ、では政宗殿、艦隊をあの2隻に並行して進めてくれ」
「並行して?普通ならば真直ぐに敵に近づかねばなるまい?」
との政宗の質問に三成が答えた。
「この4隻は今までの安宅船と違い、南蛮船同様に船の横…つまりは舷側に大筒が並んでおる。それを有効に使う為に一列に並んで横を並走する。そして砲撃の目標をそれぞれ定めて攻撃するのだ。上手くいけば奴等が音を上げて浦賀の瀬戸に逃げる筈だ」
三成は《沿岸水軍》として発達し、陣形を組んで戦っていた今までの各大名及び豊臣家の水軍には発想が全く無かった《同航戦》を行うつもりなのだ。政宗も三成の説明を直ぐに理解した。
「流石は太閤殿下の懐刀の佐吉殿じゃ!一緒に来てもろうて正解で有ったわ!」

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