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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 25

「予は初陣で功を焦り過ぎたのやも知れんな…」
暫くしてポツリと秀頼が呟くと陣幕の向こうから大きな声をかけられた。
「いやいや、若き時に背伸びして功を求めるのは少しも悪き事では有りませぬぞ、関白殿下」
そう言って陣幕を潜って来たのは伊達政宗であった。政宗は秀頼の下座にある床几(しょうぎ・折り畳み椅子の事)に腰掛けつつ語った。
「先程山城守殿より、この度の戦の状況を教えてもらいましたぞ。まぁその代わり『何故間に合わせなんだ?』と散々厭味を言われましたがな」
そう言って笑う政宗が秀頼の初陣の重圧を気遣ってくれているのを秀頼は感じ取った。
「政宗殿、心使い痛み入る。実は三成や信繁が南蛮船の建造を終わらせてから軍議を開こうかと思うが、政宗殿にはその前までに行える策は考え付くか?」
「まだ西国の大名の軍勢が来て居りませぬな。かの太閤殿下の《小田原征伐》の際には水陸合わせて22万の軍勢を集めて居りましたからな」
「うむ、先程毛利殿に関東に進出する様に命令を発したところだ」
「出来れば九州・四国の大名にも軍勢を寄越す様に指示を御出し下され」
「うむ、直ちに指示を出して軍勢を集める事にしよう」
「それと南蛮船との海戦の件ですが…我が伊達水軍所有の南蛮船が1隻のみですがございます。大坂の3隻と合わせて運用して下されい」
「判った。その事は大坂に知らせておこう。政宗殿もその船を大坂に合流させてくれ」
「御意。それと我が伊達勢をこの利根川の南岸に集結させるより、むしろ我が所領の東端で有り、下野を牽制しやすい下総古河に進めましょう。徳川も南と東の2方向から対峙される方が嫌でしょうからな」
正宗の進言通りに陣地配備をする一方で島津、長宗我部盛親、毛利元康が関東へ進出することとなった。この三大名の兵力は合計7万であった。
伊達水軍の南蛮船は2度の補給の後大坂に向かうことが決定された。
「後は真田と石田を待つ件だが……気が焦るのう。」
誰にともなく秀頼が呟くと
「そのお気持ちよく分かります。」
いつからそこにいたのか大谷吉久が答えた。
「やはり石田殿の軍略と真田殿の采配は豊臣家でも一頭値抜きんでておられますからな」
「うむ…他の者達にも信を置いてはいるのだがな…」
秀頼には数多の勇将・智将が付いているが、それでも2人に対する信頼感は群を抜いていた。
「関白殿下、大谷殿、一つ案が有るのですが、申してよう御座ろうかな?」
その様に政宗が言うと秀頼や吉久が興味を示した。
「政宗殿が言う様に毛利・長曾我部・島津の軍勢を関東に回す手配はしたが、もう一つ案が有るのか?」

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