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逆転!関が原
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逆転!関が原 24

「佐竹家家老、渋江政光殿お討死!」
その知らせで怯んだ佐竹勢を掻い潜り、徳川第二陣の大将・奥平信昌が大久保忠隣に合流した。
「大久保殿!石見守の策はこちらは渡河しない筈だ!」
「時の勢いという物がついておる!このまま羽柴の小童の首を討てば…」
「馬鹿者!見て判らぬか!このままではこちらの兵が包囲されて全滅する。家昌(信昌の息子)、儂が殿軍を受け持つ故、直ぐに北岸へ兵を纏めよ!」
「奥平殿、お主は…」
「儂は関ヶ原で家康様を御救い出来なかった。やっと家康様に謝る事が出来るのだ。さぁ退き太鼓を鳴らせ!」
直ぐに徳川勢に退き太鼓が響いた。これに気付いた上杉景勝が直江兼続に命じた。
「《乱れ懸り龍》を掲げよ」
この指示と共に上杉勢と周辺の豊臣勢が南岸の敵に総攻撃を開始する。
しかしながら奥平信昌がそれを食い止めてみせた。
「さぁ長篠城で武田勝頼の攻撃を退けた奥平の采配を見せてくれようぞ!者共、儂に続けぇ〜!」

この奥平信昌率いる小軍勢が全滅するまで戦い続け、その代償に徳川勢は北岸に多くの兵力を退かせる事に成功した。
更に総攻撃に参加していた片桐且元を戦死に追い込んだのだ。
砲撃戦から始まった利根川を挟んだ戦いの一回戦は東西痛み分けに終わったのである。

秀頼はこの戦いが決して楽なものでないことを改めて痛感した。
「……宇喜田秀家、毛利輝元を江戸に呼び寄せてほしい。」
「御意。」
秀頼はできるだけ軍勢を集めて徳川を威圧することに徹した。焦りは禁物である。ここは大名たちの意見を聞くための作戦会議を開こうという意思もあった。
「秀頼様、もしや軍議を開くおつもりでは?」
木村重成が話しかけてきた。
「いかにも。何か問題か?」
「不肖、私が僭越ながら……」
「かまわぬ、申してみよ。」
「石田殿、真田殿が大筒を完成させ、こちらに到着してから軍議を開くのが得策と考えます。彼らのような知将がいてこそいい案が出るかと……」
「そうか。南蛮船の撃沈もあったのう。」
秀頼は陣中見舞いの小豆を口に放り込み、
「一人で考えさせてほしい。」
そういうとそれきり黙りこくってしまった。

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