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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 22

この忍び狩りは予想通りの成果を挙げた。
「景勝、今まで忍びからの連絡が無いということは捕らわれたか殺されたと言うことだな?」
「はっ、若様。真に遺憾ながら……」
「そうか。捨て兵となったか……。さて、これから如何するかだが……」
そこへ薄田隼人が進言した。
「恐れながら……」
「申してみよ。」
「この先持久戦が続くことは必至であります。されば南蛮船を撃沈する用意が完了するまではこのまま手を打たぬことも……」
「傍観しろと申すか!」
やや語気を荒げた秀頼に隼人は
「そうではございませぬ。今は我慢の時、西国の大名に増援を頼み敵を焦らせることに徹しましょう。」
「なるほど。」
「出来るならば敵を挑発しましょう。敵を誘き出し全力で叩くのです。兵力はこちらがが上。さらに徳川のどこかの部隊が戦いを始めた場合これに触発された他の徳川勢も河を渡ってくる筈。こうなればこちらのものです。」
「隼人の言いたいことはよく分かった。とりあえず増援を頼もう。」
秀頼はまず毛利元康に使者を送った。これを受け5千の兵が江戸に増派されることとなった。
また、大谷吉久、小西行長には自ら全軍を率いて江戸へ向かうように指示した。この大兵力をまかなう食糧は海上、陸上両方から定期的に運び込まれ、兵達の士気は常に高い状態であった。
「これでよかろう。次は徳川の挑発とな。」
「その件は私にお任せいただけますか?」
上杉景勝であった。
「先の忍びの者の汚名を濯ぎとう御座います。」
「そう硬くなるな。今次作戦は挑発。失敗して当然のことである。」
「しかし……」
「まあ良かろう。そのほうに任せる。」
「はっ。」
景勝は秀頼の前を辞すると、《刀八毘沙門》の旗がはためく上杉勢の本陣に戻って来た。本陣では御館の乱以来三十数年来の右腕である直江山城守兼続が待ち受けていた。
「実城様(景勝の事)、如何致しましたか?」
「軒猿(上杉忍軍)が討ち取られた件で、秀頼様に謝ってきた」
「はっ、申し訳ごさいません。現在下野周辺は伊賀者が中心に忍狩りを行っておりまする。恐らくは次の手を見せぬ為かと思われまする」
「持久戦か」
「恐らくは。そして或る程度してから繰り引きして、白河の南方に有る《革篭原》におびき寄せるつもりで御座いましょうな」
「《革篭原》か…」
「はっ、我々上杉家が関ヶ原前の家康の会津攻めの折、家康勢を迎え撃つ用意をした場所で御座る」
「与六(兼続の幼名)、抜けるか?」
「御意。確かに白河関を抜くには《革篭原》を通る他は大軍は通れませぬ。しかしながら先にこの利根川河畔で徳川勢を破り、追い討ちで《革篭原》に乗り込めば、徳川勢もあそこでは戦えませぬ」
「ならば如何にして、奴等を挑発する?」

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