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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 21

「ならば江戸は何時になったら奪還出来るのだ!豊臣勢と何処で雌雄を決するつもりなのだ?」
「今は江戸に進出するのは下策ですな。占領しても維持出来る兵力が足りませぬし、小荷駄も追い付けませぬ。先ずは下野に進出して宇都宮を占領します。しかる後に小山迄南下して敵に利根川を渡らせるのです」
「むざむざ江戸を前に足踏みしろと申すか!」
「正しくその通りでございます。敵に渡河を強いて、我らはその《半渡》に乗じて攻撃するのです」
「なるほど、それならば早く利根川に進出せねばならぬな」
といきり立つ利勝に長安は忠告めいた発言をする。
「但し豊臣勢もそれを狙っておりまする。その場合は先に動いた方が策を打たれて先手を取られましょう。正に《後の先》を取るが如き戦になりまする」
「ならば相手が動くまでは川を挟んでの睨み合いになるな」
「その上で、敵が動かぬ時は雪が積もる頃に白河関まで下がり、豊臣勢をそこで迎え撃てば良いのです。とにかく敵の挑発に乗ってはいけませぬ!」

この頃豊臣勢は早くも関東平野にこの作戦で使う兵力を結集させていた。初陣を前にしている秀頼に佐竹義宣が話しかけた。
「秀頼様、徳川がここへ出てきますかのう?」
「出てくるまで待てば良いこと。冬となれば東北は戦いにくい。そこまで出て行くことは愚であろう。」
「なるほど。」
「川岸で睨み合いとならば真田の忍者に後方攪乱でもさせよう。」
「秀頼様、初陣とは思えぬ落ち着き振りですな。」
「そちも含め信頼の置ける将が数多居るからであろう。」
「もったいなきお言葉にございます。」
そこに秀頼の側近とも言うべき、木村重成が駆け付けてきた。
「秀頼様、佐竹様。対岸の小山付近に徳川勢の先鋒が到達したとの事です。馬印からみて大将は大久保忠隣・忠常親子、兵力は約1万でございます」
「やはり利根川の北まで出張って参りましたな。秀頼様、武蔵や相模の各地まで来ている各軍勢を束ねれば4万5千はおりまする。軍勢をこの地に速やかに集結させましょう」
「うむ、徳川の第二陣が来る前にこちらも集まらなければな」
一方、徳川勢先鋒の大久保親子は利根川北岸に兵力を展開した。
「父上、あの《千成瓢箪》はこちらまで川を渡って参りますかな?」
「恐らくは渡っては来るまい。いくら初陣でも周りの側近が止めるじゃろう。まぁ直ぐに渡ってくれたら楽に勝てるんだが、そこまで甘くないだろうよ」
「では手筈通りに指示を出しまする」
「よし、第二陣が宇都宮城を陥してこの地に到着いたす前に、先ずは伊賀衆と柳生但馬に命じて《忍び狩り》を始めさせろ。後方の豊臣方の真田や上杉の忍びを全て打ち取れ!」

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