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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 18

「それはつまりどういう事なのだ?密輸船をどうするのだ?」
福島正則が疑問を口にする。
「一人でも乗組員が本拠地に帰って『豊臣水軍から攻撃された』と言われると、それを口実に南蛮の正規軍が侵攻しかねませぬ。よって…」
と言って、政宗は自分の首筋を手刀で叩いた。政宗は豊臣に降伏する前に2度も《撫で斬り》を実行している。今回も他国の介入前に密輸船を完全に沈めてしまう考えなのだ。
「《言うは易し、行うは難し》だ。伊達殿は南蛮の密輸船をどの様な手を用いて沈めるつもりなのだ?」
加藤清正が当然の疑問を政宗にぶつけた。しかし政宗は不敵な笑みを浮かべて回答した。
「当然、南蛮船には南蛮船をぶつけるのだよ。脇坂殿、漂着した南蛮人を豊臣家で召し抱えて貴殿の寄騎になっておるはずだか?」
政宗が脇坂安治に質問した。
「うむ、慶長5年に豊後臼杵に漂着した《デ・リーフデ》に乗っていた者たちだな。彼等は現在豊臣水軍にて召し抱えておる。それに去る慶長14年に伊達殿の所領の上総御宿に漂着した《サンフランシスコ》を分解して船大工達に仕組を判らせたからな。現在は大坂城下で同じ様な南蛮船を建造中じゃ」

「成程、自前の南蛮船ならば密輸船に対抗出来ますな。では現在何隻完成して何隻建造中なのですかな?」
と水軍大将の一人でもある九鬼守隆が質問をする。それに対して、紀伊の領主で同じく水軍大将も兼ねる奉行・小西行長が答えた。
「少なくとも現在は完成した南蛮船はこの国に無い。最初の船は《サンフランシスコ》の乗組員の帰還の為に寄贈、伊達殿に建造を委託した2隻目は南蛮の本国に使節を派遣するのに使っている」
「ならば建造中の南蛮船が完成しなければ対抗出来んではないか!」
と加藤嘉明が指摘してきた。
「孫六、そう逸るな。建造中の船が3隻もうすぐ完成する。伊達殿に建造委託していた《サン・ファン・バウディスタ》と件の《サンフランシスコ》を雛形に、日本の者が独力で建造した南蛮船がな」
と脇坂安治が嘉明に言う。しかし安治はその後に言葉を繋いだ。
「但し、船が出来ても積む大砲が未だに揃っておらん。堺に寄港する南蛮船から買ってはいるが、3隻分には足りないのだ。《デ・リーフデ》と《サンフランシスコ》の大砲は既に前の2隻に使い切ってしまった」

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