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逆転!関が原
その他リレー小説 - 歴史

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逆転!関が原 17

「ではこちらも防戦の用意をすべきだろうか?」
沈黙を破ったのは秀頼であった。
「敵が攻めてくるのをただ待つ必要はないと考えます。まして、この大坂城で寄せ手を打ち破るということは考えなくともよいと考えます。」
「そうか、輝元。ではどうするのだ?」
「各所で敵戦力を減漸し、東海道のどこかで包囲殲滅するのが適当かと考えます。」
「相分かった。次に三成の意見を聞きたい。」
「輝元殿の意見は確かに素晴らしいのですが、こちらから徳川を攻めるのもよろしいかと存じます。」
「こちらからか。」
「はい。攻める場合は兵力が多く必要となりますがうまくいけば徳川をさらに北へ追い詰めることができましょう。」
「次に宇喜田殿の意見を聞きたい。」
「はい。私は一度徳川を攻め、敵戦力があまりにも大きく、攻めきれないと判断したときのみ毛利殿の戦術を使ってはいかがかと存じます。」
「玉虫色だな。」
大野治長はいささか不満のようだった。
「治長、この秀頼は皆の意見を問うているのだ。」
「若様、ご無礼申し訳ありません。」
「南蛮の密輸船を攻撃するのはどうか?」
唐突に前田利政が切り出した。これに対し大谷吉久が言った。
「ほう。それは徳川に対して大きな打撃を与えるが、あまりにも危険が大きすぎるとは思いませぬか?」
「この毛利輝元も吉久殿と同じに考えまする。」
「南蛮と戦になるということか。」
秀頼は徳川の後ろに大きな敵がいることを考えなくてはいけないと気づきはじめていた。
そこで福島正則が主張を展開する。
「秀頼様、徳川勢が多少南蛮の鉄砲を手に入れたからと恐れる必要は有りませぬ!佐吉が言う通りに陸奥まで攻め込むべきでしょう!」
「ふむ、儂も市松や佐吉と同意見じゃ。『兵は拙速を尊きとする』と言うし、南蛮人が取引する相手が滅びれば良いのだ」
と加藤清正も賛意を示した。
「成程…。では政宗殿は何か案は有るか?」
「確かに東海道沿いで迎え撃つのも、陸奥に攻め込むのも良い案かと思いまする。しかし敢えてもう一案出させて頂きまする」
「ほう…もう一案とは如何なる考えじゃ?」

「彼等が欲しがる《餌》を用意して、彼等を我々が望む決戦場に引き摺り出すのです」
「餌とは何を使うのだ?」
「彼等の元々の本拠地で有る《江戸》、そして関白殿下御自身で御座います。つまり殿下の本営を江戸に置き、おびき寄せた彼等を関東の内陸、南蛮船の大砲の射程外で殲滅するのです」
すると前田利政が質問する。
「ならば南蛮船は如何するのだ?」
「南蛮船は正規の貿易船でも国の軍艦でも有りませぬ。密輸船が《難破若しくは沈没》しても外交問題にはなりますまい」

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