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逆転!関が原
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逆転!関が原 14

「では徳川討伐の大儀は何であろうか?」
「若様!徳川は反豊臣の者で重臣を固め、大量の浪人を雇い入れております。もう謀反の疑いが十分あるといえましょう。」
「この信繁も毛利殿の言う通りと感じます。」
「そうか。では正家。」
「はっ。」
「徳川討伐に必要な糧秣を出来る限り早く集めてほしい。」
「御意。」
「次に三成!」
「はっ」
「徳川討伐の戦略を立ててほしい。」
「承知いたしました。」
「石田殿は何処で徳川勢を迎撃するべきと考えますか?」
真田信繁が三成に質問をぶつけた。
「軍略としては確かに瀬田川の辺りに引き込むのが良いと思いまする。しかしそれでは被害が及ぶ地が広がり万民が傷つく事と為りましょう」
「確かに佐吉の言う通りだ。ならば敢えて敵の懐に飛び込むのか?」
三成に対して既にわだかまりを無くした加藤清正が聞いてきた。三成は清正に向かって自信を持って言い切った。
「うむ、《虎穴に入らずんば虎児を得ず》と言う言葉が有る。去る天正19年の九戸征伐の故事も有る上、伊達殿や上杉殿等の旧領主の方々も居る。此処は陸奥の地まで遠征して、徳川が関東や北陸道に進出して来る前に制圧する策を取りたいと考えておる」
「ふむ。先鋒は誰が良いかの?」
今度は毛利輝元が訊いた。
「それは輝元であろう。」
それまで軍略を聞いていた秀頼が言った。それだけ秀頼は関が原で大将を務めた輝元に絶大な信頼を寄せているのだ。
「身に余る大任、恐れながらお受けいたします。」
それに続けて
「そして伊達殿、上杉殿が旧領地を平定するのだ。地の利は我らにあろう。」
と三成が言った。
「三成、過信は感心せぬ。」
秀頼に窘められた三成は赤面した。しかし、今度ばかりは負ける筈の無い戦。苦戦する筈が無いと誰もが思っていた。
たとえ徳川勢の領地高が百万石以上であれ、豊臣の蔵入地どころか、毛利一門の約半分である。国力だけならば徳川勢と豊臣勢の間には十数倍の開きが有るのだ。
これに当時の軍役において平均的な動員兵力の計算である《三人役》(百石あたり3人の動員)で言うと、徳川勢は約3万人、かたや豊臣勢は全て合わせて30万人を大きく上回るのだ。
これが念頭にある秀頼を始めとする豊臣勢が(負ける筈が無い)と考えるのは仕方ない事と言えた。

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