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遠い夏の日の思い出
恋愛リレー小説 - 大人

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遠い夏の日の思い出 3


その日は、みんながパーティーを開いてくれたおかげで昼間っから飲まされて参ったが、なんだかみんなの気持ちがうれしくてそれだけで充分だった…。


気が付くと私は自分の部屋のベットの上にいた。
なんだか頭がズキズキして起き上がる気分になれなかった。
暫くするとお母さんが水を持ってきてくれた。
「あらっ彩、起きてたの?あんた随分な飲みっぷりで家まで涼ちゃんが担いで来てくれたのよ!」
「えっ!そーだったの…?」
と私は重い体を起こし、お母さんの手からコップを受け取り水を飲みながら驚いた…。
そんな私にお母さんは
「あんた、本当に何も覚えてないの?」
と聞いてきた。
「ぜんぜん…私…何かやらかした?」
「まっ、とにかく涼ちゃんにちゃんとお礼言いなさいよっ!」
とお母さんは呆れて溜め息をつきながら部屋を出て行った。

彩は、先程の事を必死に思い出そうと努力してみるが頭痛が邪魔をしてうまくいかなかった…なので、諦めることにした。

今日は帰って来た早々、いろんな事があったけど…
やっぱり…何よりも涼ちゃんに会えたことが一番嬉しかった…。

すると、彩の携帯からメールの受信音が聞こえてきた…。

受信相手の名前を見て私は眉間に皺を寄せた…。

それは、東京で最後に付き合っていた不倫相手からだった。

『彩、今どこにいるんだ?心配だから連絡くれ 』

まったく、何なのよ今更…
私は返信せずに携帯を閉じた。
ただでさえ、飲み過ぎて頭が痛いのに余計に痛く感じられる…

そんな時でも頭に浮かぶ人は涼ちゃんだった…。
普通に歩いても20〜30分かかる距離を私をここまで担いでくれただなんて…

私は何故だか涙が溢れ出して止められずにいた。

ふと目を覚ますと当たりは薄暗く月明かりのせいで明るく感じた。
どうやら私は泣きながら眠ってしまっていた…。
私は起き上がると窓を開けて夜空を眺める…
夜空にはまあるいお月様と無数の星が輝いていた。
こんなにゆっくり夜空を眺めるのは久しぶりだった。東京では夜空を眺める余裕などなかった…
暫くボーッと眺めていると下のほうでキーッと自転車のブレーキの音が聞こえそちらに顔を向けると、自転車に乗った涼ちゃんが手を振る…
そんな涼ちゃんに私もヒラヒラと手を振ると何やら口をパクパクさせて手を動かしていた…。

なんとなく…『おいで』と言われてるような気がして、私は慌てて階段を駆け降りて靴をはくと外に駆け出した。
すると涼ちゃんは自転車に跨がりながらニコッと微笑み
「彩…後ろ乗って?」
私は小さくコクッと頷くと後ろに座った。
「ちゃんと掴まってろよ?」
「わかった…」
そう言う涼ちゃんの背中にしがみつくと、自転車が動き出す…

「涼ちゃん、どこ行くの?」
「ひ・み・つ」
と涼ちゃんは私の方に振り向くと悪戯っぽくパチッと片目を綴じた。
(ちょっと…顔がかなり近いんですけど…)

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