PiPi's World 投稿小説

素直になれたら…
恋愛リレー小説 - 大人

の最初へ
 4
 6
の最後へ

素直になれたら… 6

 
なっ、何なの?コイツ……

先程からチクチクとあたしに刺々しいこの態度。

こっちは折角、謝ろうとタイミングを見計らっていたというのに……。

あぁ……ダメダメ。

やっぱり悪いのはあたしなんだし、ここは冷静に抑えなきゃ。

「それは、それは。先程は失礼致しました…でしたら、もうあたしに関わらないで下さい!」

あぁ……またやっちゃった。

どうしていつもこうなるんだろう……。

あたしはくるりと踵を返すと小走りでその場から走り去った。
 
「真崎さん……」

あたしは背中で塚原くんの呼び止める声を聞きながら、チクッと胸の奥が痛むのを感じる。

何?この痛み……

この時のあたしには、まだこの痛みが何なのかわからなかった。

とにかく一分でも、一秒でもあの場所に居たくなくて。

気が付くと走っていた。

あたし、どうしちゃったんだろう……

さっきから胸のドキドキが止まらない。

ずっと走り続けたせい?
それとも……

「ごめーん、待った?サークルの勧誘に捕まっちゃってさぁ」

暫くすると、奈菜美が顔の前で手を合わせながらこちらに駆け寄ってきた。

「……もぉ、遅いよぉ」

あたしは必死に胸のドキドキを抑えながら笑顔を向ける。

すると、直ぐに奈菜美は心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。

「ちょっと栞、何かあったでしょ?」
「えっ?」
「隠しても駄目よ、何年親友やってると思ってるの?」



すっ、鋭い。

流石、奈菜美だ。
あたしのことは何でもお見通しなんだから。

「う、うん。それがね……」

観念した私は奈菜美と別れてからの出来事をありのまま、包み隠さずに話すことにした。



あたしが話している間中、奈菜美はずっと笑いを堪えている様子だった。
そしてあたしが話し終えると、何かから解放されたかの様にふぅーっと、一つ溜め息を吐き出し口を開いた。

「要するに、栞はその荻野っていう彼のことが好きなのね?」

あたしは一瞬、奈菜美の言葉を疑った。

「はっ?どうしてそうなるのよ!」
「だって、朝の出来事からずっと彼のことばかり考えているんでしょ?」
「そっ、それはいきなり叩いてしまったことの罪悪感というか……とにかく、謝らなきゃってそればかりで……」


SNSでこの小説を紹介

大人の他のリレー小説

こちらから小説を探す