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恋愛リレー小説 - 青春

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机 10

・・・・・・・・・。長い沈黙が続いた。
「な、なんで羽山君が??!」
「いや、ちょっと数学でケガを…」
「数学の授業でケガするの?」
「それがコンパスの針で刺しちゃって・・・。」
砂夜に心配してもらうために、羽山はわざと落胆したようにみせた。だが、反応は意外なものだった。
「アハハハ〜!コンパスで??!そんなケガを??ありえないよ〜!!」
思惑は外れたが、砂夜が笑ってくれて、羽山は嬉しかった。
「アハハハ〜…ゴホッゲホッ!」
「だ、大丈夫か??」
「んっ…大丈夫…。なんか風邪ぎみみたいで・・・。」

「やっぱり、寝てた方がいいよ!!」

「ん・・・そうしようかな・・・。」
砂夜がベットの方へ、フラフラと歩いている。
「お大事に・・・」
羽山は砂夜にそう言った。
「ありがとう・・・羽山君こそ、お大事にね」
砂夜がニコッと笑う。

その後何分もしないうちに砂夜の寝息が聞こえてきた。
「寝るの、早ぇーな・・・」
羽山はプッと笑った。
「机、俺なんだって言わなきゃな・・・どう言おう・・・」


「あ〜もう!!なんで俺にチャンスはめぐってこねぇんだよ〜!!」
羽山は頭をガシガシとかいた。その時だった。ガラッ
扉の開く音がした。
「秋治??何してんの?」
それは砂夜を心配して様子を見にきた夏美だった。
「いや〜コンパスで手刺しちゃって・・・」
「ドジだなぁ、秋治は。(笑)ほらっ!手かして!」
そう言うと、あっというまに消毒して、包帯をしてしまった。
「おおっ!はえぇな!!」
「そりゃ〜三人兄弟の長女ですから!!」
「そういえば…。あ、秋羽は兄弟とかいんの??」
「確かお姉ちゃんが…。…どうして砂夜の事を??」
「あ、いや、それは…。」
羽山は口ごもった。
「ねぇ、どうして??」
夏美はなぜか羽山の反応が気になった。
「いや、あの、それは…。」
「秋治…答えて…。」
「はぁー、しゃあねぇな・・・。夏美だから教えるんだぞ?」
「わかったから早く!!」
夏美はイラだっていて、怒鳴ってしまった。
「そんなに怒鳴るなって…。実は・・・。」
羽山は夏美に今までの机の落書きの事や松山の事などを話した。
「だから俺…秋羽の事が・・・。」
「…好きなの??」
「シーッ!秋羽そこで寝てる!」
「だから、好きなの??」
「あぁ…まあな。」
羽山は照れながら言う。だが夏美は今にも泣きそうだった。

「……っどいよ………。」
「ん??どうした?」
「あっ、ううん、なんでもな・・・。」
ポロッ
夏美の頬にひとすじの涙が流れた。
「おいっ!ホントに大丈夫か??」
「うん…大丈夫だよ…。あっ、私もう行くね!」
「えっ、秋羽の様子見なくていいのか??」
「秋治が見てあげればいいじゃない。とにかく行くね!」
バタンッ
荒々しくドアを閉めて、夏美は行ってしまった。
「なんだよ〜、変なヤツ…。」




一階の中庭では…

(なんでっ…。なんで秋治が砂夜の事…机って何よ…。)
「ヒドイよっ…!秋治のバカ〜!!」
夏美はしゃっくりをたてながら泣いてしまった。

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