机 16
「はぁ…」
夏美は気が抜けた様に長めのため息を吐いた。
羽山に云いたい事が有る。
答えはもぉ99%分かっていた。
だけど云いたい。
どうしても想いを唇に乗せて
夏美は1%の希望に賭けていた。
どう見たって自分の親友き引かれているだろうという想い人に
だけど羽山はいなかった。
張り詰めていた緊張の糸という糸が一斉に
「ぷちんッ」
と音を立て切れた気がして夏美はその場で膝を抱えるしか出来なかった。
「大丈夫?」
突然声を掛けられて夏美が顔をあげると、そこには心配そうな顔をした松山が居た。
「あっうん。大丈夫。
ごめんね。こんな所に座り込んでて、邪魔だよねっι」
本当は全然大丈夫じゃない。
夏美は今にも零れそうな涙を必死で押さえて一気に話し、その場から立ち去ろうとした夏美を松山が呼び止める。
「ちょっと待ってっ!なんか、今にも泣きそうに見えたから、声かけたんだけど、本当に大丈夫?」
その頃秋治と砂夜は…
秋治はどうしたらいいのかわからず焦っていた。その時…
「んん……」少し落ち着いたのか砂夜はか弱く目を開けた。
「!…秋羽っ大丈夫か?」心配そうに秋治が砂夜の顔を覗きこむ。
砂夜は起き上がろうとしたが体に上手く力が入らずフラっとよろけてしまった。それを慌てて秋治は支える。
「羽…山く……ごめん…ね」砂夜は息が荒くとても歩ける状態ではない。
「まいったな…おい!秋羽、お前ん家どこか言えるか?」
「あたし…1人…な…の」
「え?!」秋治はその意味がよくわからなかった…。
砂夜はその理由を続けた……。
砂夜はゆっくりと話し始めた…。
「あたしの…お父さんとお母さんは3年前行方不明になったの…」
砂夜は少し涙目だった。秋治は真剣に聞いた。
「…いっぱい探したんだぁ…でも見付かんなんくて、ね…あたしは施設に入って…昨年から1人暮らし始めたの…」
「………」
秋治黙ったままは小さく力ない砂夜を優しく抱いた。
「羽山…くん?」砂夜は不思議そうに秋治の様子を伺う。
「今日は俺ん家で休んできなよ。」と優しく笑いかけ秋治はゆっくりと砂夜をベッドに寝かせた。
砂夜は「ありがとう…」とか弱く微笑んだ。