机 15
そう言って松山ぽんッと秋治の肩を叩いた
『でも諦めた訳じゃないから…』
そう言い残し松山は小走りで学校へ駈けて行った。
フー
やっと一息つく秋治
誰でもするもんじゃねーのか?
自分の名字好きな子に当てはめてみたり…て俺は乙女かょッ!
まだ顔の火照りが残るなか秋治は砂夜を見た。
幸い?砂夜は意識を失っているらしい…
今までの会話は聞いていないだろう。
『ってやべーじゃん!』
秋治は思わず声を上げると砂夜を抱え走りだした。
『――って俺、秋羽の家しらねーじゃんッ』
どーしよーかと考えた末、とりあえず秋治は自分のうちで休ませることにした。秋治は実は一人暮らしなのである。自分の部屋に着くと、砂夜を自分のベッドに寝かせ、一息ついた。『ふぅ…。お、お〜い秋羽?だいじょぶか?』秋治が心配そうに聞くが砂夜はぐったりとして返事もできない。『…どーすんべ…』
そっと砂夜のおでこに秋治の手が触れる
思ったよりは熱くなく、少し汗で湿っていた
とりあえず、家にあった冷却シートを砂夜のおでこに貼ってやる
「秋羽…」
心配そうな顔を砂夜に向ける秋治
砂夜は少し楽になったのか顔色も良くなり、すーすーと寝息をたてていた
――その頃の学校
キーンコーンカーンコン♪
最後の授業を告げるベルが鳴り響く、
バタバタバタバタッ!
そのとたん一組に慌ただしく迎う人影がー……
その姿は夏美であった。
ガラガラガシャーンッ!
夏美は一組のドアを目の前にすると思い切り引いた。
その勢いに騒然とした一組の人々の視線が一度に夏美にむかった。
そんなコトお構いなしといった感じで夏美は教室を見渡した
「………」
「は、羽山は―?」
夏美は軽く息を崩しながら言葉を零した。
いくら見渡しても羽山の姿は何処にもない。