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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 6

「それよりもさ……明日は初登校なんだろ。そっちの方を考えれば?」
「……そうね。それもそうだわ。まぁ、アタナに心配されるまでもないけど」
僕はその皮肉が混じった言葉に少し笑うとじゃあ、おやすみと自然に挨拶をした。
「お茶……ありがとう」
ドアを閉める間際、かなり聞き取りずらい小さな声だったが、ぽっかりとその彼女の声は浮いていて、聞き取ることができ、僕はまた小さく微笑むように笑った。僕はちゃんと笑えているような気がした。

次の日、新しいパリパリの制服を来た由香とバッタリと廊下で会った。白いシャツ、紺のブレザーに水色のチェックのスカート。紺のハイソックス派なんて言ったら変態扱いされそうだが、細身で身長もそこそこある彼女にその制服は異様に似合っていた。長い黒髪をポニーテールにしているのも新鮮で思わず見とれてしまった。


すると彼女は僕のおでこにデコピンをした。イテッ。思わず顔をしかめる僕に


「バーカ。見とれる前に挨拶くらいしなさいよ」
一日、いや数時間くらいしか彼女とは接してはいないが、やはり調子の方がなんだか落ち着く。


「何?人の顔を見てニヤニや笑っちゃって、昨日だったら半殺しよ」
「昨日だったらって……一体どういう心境の変化なんだよ?」

その唐突な質問に彼女はフフッと大人っぽく笑った。
「あら、私は気まぐれなのよ。んーまぁ、アンタは意外といい人みたいだから、少し手加減してあげてるの。フフッ、感謝するのね」
「げふー」


何か一晩でこの人キャラが変わってるし、これは本物の二重人格なのかもな。
「あ、それで由香さん」
「ちょっと、由香さんはないんじゃない」
自分で気安く『由香ちゃん』って呼ぶなって言ったんじゃないか?僕は半分呆れながら
「じゃあ、何て呼べばいいのさ」
「そうねー」
彼女は腕くみをして楽しそうに笑うと
「由香さまって呼びなさい」
「却下」
何が『由香さま』だ。冗談なのか本気なのかわかんないし。


でも、その呼び名が一番しっくり来るような気がするのは気のせいか。
「もー何よ。冗談に決まってるでしょ」
そんな風に本気で怒ったのかと思えば
「でも、実はアンタのそのつっこみ具合、意外と気に入ってるのよ」
なんて言ったりする。 今度は天然みたいになってるし。本当にこの女は演技してるつもりないのだろうか。まぁ、どっちにしろおもしろそうだけどさ。

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