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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 1

「明日から、女の子がうちに来るから」
夕飯の途中に母が何の断りもなくそう言い出した。当然、俺は不機嫌な顔で反論する。
「はぁ?何だよいきなり」
「……人の話は最後まで聞くものよ。友達の子供で由香ちゃんっていうんだけど、これがまた可愛いのよ」
「……何だ。子供か」
「まあ子供といっても、あんたと同じ年よ」
 『同じ年』という母の言葉に俺は箸を落としそうになった。同じ歳のかわいこちゃんと同じ屋根の下で暮らすなんて……そんなの、男のロマンじゃないか。へらへらとだらしなく笑みを浮かべる俺に、母は「もし、由香ちゃんに変なことしたらこの家から叩き出すからね」と脅すような声をだした。
 翌日の昼前、母の友人だという中年の女性に連れられて彼女がやってきた。俺は一目で、彼女の潤んだ大きな瞳に心を奪われた。想像以上の可愛さだ。彼女は、さくらんぼみたいな唇で、「桧山由香です。今日からお世話になります」と、なめらかな甘い声で挨拶をした。
 母に頼まれ、俺は彼女の荷物を部屋に運びはじめた。重い荷物を運ぶ俺に、彼女は、うつむき頬を赤くしながら「すみません」と申し訳なさそうな声を出した。かわいすぎる。
「由香ちゃん、確か、俺と同じ西高なんだよね?」
 言いながら部屋に荷物を置き、隣の彼女を見た。彼女は小さなダンボール箱を床に置くとこっちを向いた。その意外な表情に俺は目を瞬いた。

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