四葉のクローバー。 45
「あ〜悪い悪い、でも、風邪早く治って良かったじゃん」
風邪ね…。
美保は昨日がまるでなかったかのように、明るいしな。
言わない方がいいよな。
「ま、いつも元気なやつがいないと寂しいよな!」
不自然に祐介の肩をバンバン叩く。
「…テテ、イテよ、最近ホント変だな、お前」
「べ、別におかしくなんか……」
「いや、由香ちゃんがきてから、マジでヘンだって!」
「何だよ、急に」
祐介の口ぶりが、本気だったので思わず反論。
席から勢いよく立ち上がる。
だが、少し、声を荒げてしまったので、
クラスがシーンと一瞬だけ沈黙、そして視線が集まる。
「どうしたの? 敬太くんと祐介くん」
「おい、ケンカはやめとけよ」
「めずらしいね。二人がケンカなんて」
このクラスは、本当にいい奴しかいないと思う。
知ってる、知らない関係なく。
ささいなケンカにも、止めに入ってくれる。
て、別にケンカはしてないんだけどね。
祐介も、もちろんそんな気はないみたいで、
いつものように、おちゃらける。
「いやいや、おさわがせしました。
ちょっと、今女性問題でいろいろ揉めてまして」
クラスは爆笑だけど、俺は笑えない。
「アハハ、そうなの?」
「祐介、サッカー復帰したし、今がチャンスだよな」
「これから、モテ期到来!てやつか?」
話が、だんだん反れ。
しだいに、落ち着いていった。
祐介は、それを待ってたかのように、
小さめの声で謝ってきた。
「ゴメン、敬太。悪気はないからな!」
「あぁ、わかってるよ。俺こそ、ゴメン」
でも、祐介はあきらかに誤解している。
朝も安心しろとか、わけわからんこと言うし。
由香のことは、何とも思ってないっての!
いや、思うも何も、
全然知らないし。