四葉のクローバー。 43
「それにしてもさっきより、さらに人増えたね」
言われてみるとただでさえ人が多かったのが、俺たちの後ろも人でうめつくされている。
「ホントだ。これだと校舎にいる人の数の方が少ないかもな」
「あは、ホントにね」
「ほら、むこうがわの職員室側の木のあたり、先生たちも見てる」
「えっ?あ、ホントだ」よく見ると生徒に混じって先生方も観戦している。
「すごいな。これみんな由香ちゃん目当てなんだよね」
「………いや、みんなかはどうか……」
「あ、練習終わったみたい! 由香ちゃ〜ん」
美保は、そのままグラウンドまで駆けていった。
練習が終わって解散したグラウンドにはすでに部員以外の人達でひとだかりができていた。
大丈夫か?あれじゃー近づくのも大変だよな......。
案の定。
美保は、ひとだかりにのまれていた。
きゃーきゃいいながら、前に進んでいる。
見ているこっちはハラハラする。
父親の気分?
......ってそんなバカな。
何とかひとだかりにのまれながら、由香に近けた美保。
「由香ちゃんっ、おつかれさまぁ」
由香もあら?と美保に気づき、ニコニコと優しい笑みを口元に震わせていた。
「あの二人姉妹みたいだな」
「……あぁ、言われてみれば」
「ま、顔は似てないけど、二人とも可愛いよなっ」
「お前どっちタイプ?」
制服をかなり着くずした男子二人組が
そんな噂してるのが聞こえた。
答えを聞くことなく、俺は校舎に向かって小走りで戻った。
「みなさんおはようさん♪」
教室に元幽霊部員が帰ってきた。
時刻は遅刻ギリギリ。
一瞬シーンとした教室もざわつきはじめ。
待ってましたとばかりにやじがとぶ。
「お前いつから復帰したんだよ?」
「練習みたよん」
「かっこよかったよ」
「いいよな、マネージャーが由香ちゃんで」