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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 42

「へぇ、由香ちゃん、スカウトなんだ!すごいねっ」
「うん、異例らしいよ」
……何か詳しく知ってるみたいだな。
挨拶もそこそこに詳しく聞いてみる。
「スカウトって言っても、たかが部活のマネージャーじゃないんですか?」
そもそも大げさに瑠璃さんがスカウトって言葉を使っていることに疑問を持っていた。
(......ていうか、何で俺、敬語使ってるんだろう)
「そー言われてみると……確かにそうだね。ん、何で?」
瑠璃さんは声を潜めた。 
「確かにね、そんなここのサッカー部は強いわけでもないんだけどね」 
「う、うん」
「前のマネージャーだった......三組の前島さん知ってる?」
「知ってる!前に同じ委員会やってたもん。……華ちゃん、どうかしたの?」
前島華子。名前だけは聞いたことあった。
部員の祐介の話によると、とくに目立つような子ではないが、いつも笑顔で一生懸命マネージャーをつとめているとか。 
「急に辞めたみたい。彼女」
「えー何で?」
美保は瑠璃さんの腕をつかんだ。
「華ちゃん、何かあったのかな!」
「さぁ、そこまでは......」
瑠璃さんは両手をあげてお手上げねと苦笑した。
「で、その華ちゃ......前島さんが辞めて、由香がマネージャーなったわけか.........で、それが何で異例なんですか?」
「.........20」
「はい?」
「由香ちゃんをマネージャーか部員にスカウトした部活の数」
「へぇ、すごい〜」
10っていったら、ほとんどの部活がってことか。 
瑠璃さんはさらに話を続けた。
「でも、サッカー部は前島さんがいたからスカウトはしなかったの」
いつの間に?と驚きながらも普通に返事する。
「あ、そうなんですか」
レギュラー入りか………。祐介には悪いが軽く聞き流してと。
あ、そういえば、何も瑠璃さんには報告してないんだっけ。
と、美保に視線をうつすとあの出来事があったとは思えないくらい瑠璃さんを見つけた瞬間、笑みをこぼしていた。 
「当たり前だよ、祐介くん頑張ってたもん」
うそつけ。
瑠璃さんは同じ気持ちだったらしく苦笑いをしていたが、美保をマジマジと見つめ、急に顔を緩ませた。
「.........良かった元気そうで」
大げさに両手でふる美保と違って控えめで上品な振り方。
表情は笑顔というよりまるで無邪気な我が子を遠くから見守る母親みたいだ。
.........。
ってそんなあほな。
「ほらぁ、敬太くんも」
急に美保が俺の手を掴んできた。
「は?」
「手振って、ほらぁ」
「ええっ」
訳が分からぬまま、手を操作され、無理やり手をふらされた。
 
由香はそれを見てなのかはわからないが、ぷっと吹き出していた。
はっきりいって恥ずかしい。

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