四葉のクローバー。 39
あれから由香は後は自分で考えて、の一点張りで何も教えてくれなかった。
「昨日はありがとねー。今度ちゃんと、お礼するから」
両手を合わせて可愛らしく美保は言う。
だが、俺は半分以上、もしくはまったく聞いてない。
「美保さんは悩んでるのよ」
このことばが頭にあるからだ。
本当に、それほど大切なことを美保は悩んでるのか?
何か読めるかも。そう思わず、見慣れた美保の顔を睨むようにじっと見つめる。
「と言っても今月はお金あんまりないから、たいしたものは奢れないけど」
昨日もそうだったけど、いつもと変わらない。
顔の血色もいいし、笑いも自然と出てるみたいだし。
「あっ」
美保と目があった。
フフっと顔を少し赤らめた美保は俺の肩を思いっきり叩いた。
「なーに?私のこと見つめちゃって!」
「いや……元気かなぁ?って」
本気で美保は叩くから痛い。
ごまかしたつもりだったけど、ピタッと美保は足を止めた。
「……どーゆこと?」
問いかけるその顔からは笑顔が消えた。
「その……無理してるんじゃないかと思って」
「私が?」
ありえない。と美保は笑い飛ばした。
「あ、なら......いいんだけど」
「.........?」
「まぁ、そういうことだから」
ちょっと不自然だったかな?
んーでも、やっぱり、取り越し苦労っていうやつなのか?
昨日もそうだけど、全然いつも通りじゃないか?
後ろにいる美保の存在を忘れたように、独りで淡々と歩き始めた。
「へぇ、そうなんだぁ!」
しばらくすると美保の独り言が聞こえた。
そして、待ってぇと小走りで追いついてきた。
予測不可能な美保の行動。息を切らしながら美保は言う。
「......まだ心配してくれたんだぁ」
いつもながらの美保の間の抜けた発言に
足が止まった。
「そりゃあ、するだろう。普通」
まだ何も解決してないわけだし。
それに人として心配するのは普通だと......思う。
「......そっか、何か嬉しいなっ」
うっとりした表情をする美保。
そんなに俺って冷たいやつに見えるのか?
美保の考えてることは単純なようで、まったくわからない。
「あっ!」
今度はいきなり声をあげた。
どしたのかと思えば、辺りをキョロキョロ手をかざしながら見渡し。
何を言い出すのかと思えば、
「そういえば、由香ちゃんは?」