四葉のクローバー。 37
「どこに出すのさ?……手紙」
「ちょっとした……知り合いよ」
外は寒い。コートというには大げさな上着を羽織って、
外に出たものの、さっきより時間が遅いだけあって、
寒さは増していた。
白いコートを着込んだ由香は寒さには動じてる仕草を
一瞬たりも見せない。
寒くないのか?それとも演技なのか?
あれこれ考えた末、目に入ったのは。
薄ピンクの手紙。大事そうに両手で持っている。
昔、美保が出すわけでもないのに、可愛いレターセット
を集めていたのをフトッ思い出した。
「ふーん。知り合いね」
そう言われると、これ以上何も聞けない。
「……気になる?」
由香はひらりと体をこっちに向け、そういった。
「教えてほしい?」
俺は首を振った。
「………ノリ悪いわね」
ため息をつく由香。
最初から教える気なんかあるわけない。
「それより、まだつかないの?ホント遠いのね」
まだ目的地まで半分もきていない。家を出て五分はたつだろうか。
この時間帯は人通りが少ない。まだ誰ともすれ違っていない。
俺は由香に聞きたいことがあった。
歩く速度を急に落とした。
由香も同じように足を止めた。
「……どうかしたの?」
「ちょっと、聞きたいことあるんだけどさ、いい?」
「………何?」
由香の大きな目が鋭く光った………気がした。