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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 3

「そう。同じクラスにならないことを祈るばかり」
思わず、ボタンを押す指に力が入る。
送信と…。
「ご飯よ」
タイミングよくドア越しに母の声がした。
あのことを言おうかどうか迷ったが、リビングに行くと、小皿を持った彼女と出くわした。
一瞬、間ができたが、
「あ、敬太さん。先程はご足労いただきありがとうございました」
まるで何事もなかったかのように、にこやかな顔つきで彼女はお辞儀までした。そして、顔をあげると、また、それとは違う優しい微笑み方で俺の顔を見つめた。いったい、何なんだよ。どう反応していいのか戸惑った。
「ほら、敬太何つ立ってるの?あ、由香ちゃん。いいのよ、座ってて。そんなの敬太にやらせればいいんだから」
台所から出てきた母が彼女の姿を見てすぐにそう言った。やらせるとは随分な言い方だなと思ったが、
彼女は、ぴしゃりと
「そういうわけにはいきません。これから居候になる身分なんですから」
 




食事の時間は和やかだった。
彼女は、聞き上手らしく、母はすっかり打ち解け彼女がすっかり気に入ったみたいだ。
 それに母の料理を彼女はえらく何度も褒めていた。
「敬太さんが羨ましいです。毎日こんな美味しいお料理が食べられるなんて」
「あら、由香ちゃんのお母さんは料理作らないの?」
「はい、いつもご飯は一人で食べてました」
「そうなの……」
この時、彼女は少しだけ寂しそうな顔をしていた。
 だけどそんな由香の表情さえ、俺には全て計算ずくのものに思えた。こいつ、女優になればアカデミー賞獲れるんじゃないか?






 せっかくの休日が性悪女のせいで台無しだ。あんな重いダンボール箱なんか運んでやるんじゃなかった。夕飯のあと、俺は急激に疲労を感じ、自室のベッドに横になった。
「ねえ、ちょっと」
 俺の耳がおかしくなったのでなければ、今、確かにあの女の声が聞こえた。でも、いくらなんでもそれはありえないだろうという気持ちで起きあがると、いつのまにかドアが開いていて、その前で由香が睨みを効かせながら立っていた。こいつには、他人のプライバシーを守る気ってもんがないんだろうか。
「暇なんだったら、コンビニでなんか飲み物買ってきてくれない?」
「ハァ? そんなの自分で行けよ。つーか、勝手にドア開けんな」
「私まだどこにコンビニがあるかとかわかんないの。だから、お茶買ってきてくれないかな? お願い」

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