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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 2

「『由香ちゃん』なんて、気安く呼ばないでくれる?」
 彼女は腕を組み、目を細めて俺を睨んでいる。あまりに突然のことに俺は驚き、それでも素直に「ごめん」と謝った。すると彼女は舌打ちし、「最悪」と低い声を出した。わけのわからない彼女の豹変ぶりに俺は呆けたように彼女を見ていた。
 呆然と立っていると、彼女の視線が俺の全身を値踏みするように上下した。そして、「超ふつうだし」と不機嫌な声を出した。これには、さすがの俺もカチンときて、「普通で悪かったな!」と叫んだ。
「しかもバカ」
 彼女はゴミでも見るような目で俺を見、「さっさと出てってよ」とドアを指差した。
 なんなんだ、この女? 俺ははらわたが煮えくりかえるのを感じながら乱暴にドアをしめ、由香の部屋をあとにした。
「で、例の居候の女の子はどうだったんだよ?」
親友の裕介から、そんな探りメールが着たのは、あれから10分ほどたった後だった。
裕介は今回のことを知っている唯一の部外者だ。
「最悪」
そこまで打ってみた後、例の居候の女こと、桧山由香を頭に浮かべてみた。
容姿はあの母親には、似ても似つかない美少女。きっと父親似なんだろう。
声も良かった。その整った可愛らしい顔立ちをより一層引き立てる様な甘い声。
 しかし、二人きりになった途端、その甘い声とは180度違う低い声で
『由香ちゃんなんて、気安く呼ばないでくれる?』
『最悪』『しかもバカだし」
今まで、性格の悪い女の子なんて、いくらでもいたが、初対面から、あんな態度をする女は初めてだった。
「最悪ってそんなにブスなのかよ」
「性格がな」
由香を探るメールのやりとりは、しばらく続いた。
俺は、さっきの怒りをぶつけるようにとことんメールで悪口をぶちまけた。
 気が付けば俺の想像部分が、かなり入り混じっていて。裕介は、すっかり見たこともない桧山由香に面食らっているようだ(あれだけ事実無根なことまでぶちまければ無理もない話だが)
「でも、その由香ちゃんってうちの高校に転校してくるんだよな」

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