四葉のクローバー。 15
潔いなぁ……。
由香はまた急にツンと澄ました顔をした。
「まぁ、そんなことアナタに言ったってしょうがないと思うけど」
「そんな元も子もないこと……」
サッと白い手が俺の口元、ギリギリ前に添えられた。
「この話は終わり。アナタの友達が50メートル先に見えるわよ」
50メートル先かどうかはわからないが、祐介がなぜかこっちに向かって歩いていた。
「何だ、アイツ。俺たちを迎えに来たのか?」
「手振ってるわよ……犬みたい」
くすっと笑う由香。
しかし、由香が祐介を覚えてたのは意外だ。
「何か企んでないか?」
由香は肩をすくめた。
「別に、可愛いから覚えてただけよ」
可愛いから?余計怪しいんだけど。
「おはよう、祐介くん」
ヒラリと一歩前に出た由香が天使のような笑顔で挨拶をした。
そして、風に舞うように鼻についた甘い果実のような香り。罠か?俺は心の中で苦笑する。
祐介は、情けないほど顔を赤らめ、初恋をしたばかりの純情な男になっていた。
「おはようございます。今日はいい天気で、何よりですね」
「フフッ。そうね」
何故か警察みたいに敬礼をしている祐介。
うわぁ、つっこみどころ満載なんだけど。
「やぁ、敬太くん」
何だよ、その爽やか気取りの挨拶は……。
「おい、どうしたんだ祐介、何か……頭とか打ったのか?」