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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 14

彼女、由香が何を考えているのか正直わからなかったが、どっちみち帰りも寄らないわけにはいかなかっただろう。


「ねぇ」
気が付くと現実で由香が俺の肩を揺さぶっていた。
目の前に由香の綺麗な顔。正直、ドキッとしてしまった。
「大丈夫?」
慌てて周りの方をよく目を凝らして見ると、通学路を歩いていたはずの足はピタリと止まり、頭しか動いてなかったようだ。
 そのことを話すと由香は納得したように笑い、さすがと意味深な言葉。
「美保さんとは、生まれたときから幼なじみなんですってね」
母から聞いたのだろうか。
「あぁ……まぁ、そういうことになるな」
改めて聞かれると、照れる。
「いいな」
そう一言溢すと、歩き始めたので、由香の表情は見えなかった。
慌てて俺も歩き始める。そして、引きとめるようにこう付け加えた。
「でも、付き合いが長いし、兄弟みたいなもんだよ」
「ふーん」
微妙な表情。
「……いないの? 幼なじみとか兄弟とか?」
少しだけ彼女、由香のことを知りたいという気持ちが強くなっていた。
 これが由香の家庭の事情を知る最初の出来事とは知らずに、
「きょうだいかぁ……ん、弟がいる。血は繋がってないけどね」
重苦しい答えを由香はサラリと口にした。
事情はその短い答えだけでは詳しくはわからない。だが、彼女の家庭の事情はやはりと言うべきか穏やかではなさそうだ。
 俺は一瞬だけだが、同情ともとれる表情を見せてしまった。
それを読み取ったように由香はまた淡々と口を開いた。
「まぁ、弟は弟よ?実際、あんまり気にしたこともないし」
「ホントに?」
俺だったら気にせずにはいられないだろ。
「……だって気にしたってしょうがないじゃない?」

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