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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 12

「由香姫がそう言うなら」
「明日なら、美保も大丈夫だよね」
 今にも悪口が飛び交いそうな雰囲気は一気に和やかムードに戻り、俺はホッとした反面思わず微笑んでしまった。
スゲーよな、アイツ。
頭の片隅に由香の顔が浮かぶ。
 美保のことは……何とか決着つけないとな。
怒りと悲しみを露にしたあの美保の表情が鮮明に脳内を刺激させた。
「美保ちゃん、どうしちゃったのかしらね」
ゴミ出しに出ていた母が台所の裏口から戻ってきた。
すると、首を傾げながら、ポツリと呟いたので、トーストをかじっていた俺と牛乳を飲んでいた由香は母をジッと見据えた。
「美保がどうかしたの?」
由香も飲みかけの牛乳をコップをテーブルに戻した。
 母もあぁ、聞こえたのと言い、おさえめの声で喋り始めた。

「美紀さんに、そこでお会いしたんだけど……」
美紀さん、美保のお母さんだ。
「美保ちゃん、昨日家に帰ってきてから部屋に閉じ籠りきりなんですって」
「えっ」
由香と俺は声が被ったのでお互い顔を見合わせた。
原因があまりにもはっきりしていたからだ。
確かにあの後、美保がどうなったのか気になってはいたが、母は深い溜め息をついた。
「学校で何かあったのかしらね。美保ちゃんに限って……でも。ねぇ?心当たりないの?」
ある。なんて言えなかった。

美保のためと少し正義ぶった理由で。
僕は、ひどい顔でとぼけていただろう。
でも、中身をしっているのは母に大丈夫ですよと優しくなだめてる由香だけだ。
「美保さん、大丈夫なのかな」
 通学道を並んで歩いていると由香が呟いた。紅葉がかった黄色い葉っぱがひらひらしている並木道。頭には今朝の情景が浮かぶ。
「ゴメンなさいね。今日はお休みさせてもらえるよう、学校にも連絡したのよ」
「そうなんですか」
 美紀さん。きっと一晩、眠ってないのだろう。うっすら目には化粧では隠しきれないくまができていた。疲れきった顔と言えばいいのだろうか。
無理もない話だ。シングルマザーの彼女にとって美保は宝のような存在だから。
「ええ。敬太くんも……えっと、由香ちゃん?」

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