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四葉のクローバー。
恋愛リレー小説 - 青春

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四葉のクローバー。 11

 また、ビクッと体は震えたが、顔をあげた表情があまりにもネコが怒った時のシャーっと全身の毛を逆立てる姿に似ていて、正直噴出しそうだった。
 瑠璃さんは、そんな俺の顔を数秒眺めると、
「……何だ。美保の初恋の君か」
「瑠璃!」
珍しく美保が素早く反応をした。
瑠璃さんの腕をガシッと掴んで怒りを露にしている。
 周りはザワザワと揺れ動いている。
「何よー。君だって知ってるでしょ?美保が君のこと……」
美保は今にもすべてを暴露しそうな瑠璃さんの口を塞いだ。
瑠璃さんは水を失った魚のようにジタバタ暴れている。
「む、昔の話だよ。大昔! そう、二十年くらい前の話。ねぇー? 敬太くんっ」
ねぇー?って言われても。二十年くらい前には生まれてないんだけど。
「もういいじゃない」
崩れかけた空気に由香の凛とした声が涼やかに通った。
いっせいにみんなの視線が由香の方へと移る。
何を言い出すんだろうか内心ビクビクしていたが、
「幼なじみが初恋。ってよくある話じゃない?」
今朝と同じような笑顔で由香は笑っていた。
「そうだよねー」
美保は由香の白魚のような手首をすがるように掴んだ。
 自意識過剰に思われるのが嫌で、今まで何があっても気づかないふりをしていたが、瑠璃さんの発言にはやっぱりそうだったんだ。普通に納得してしまった。
美保が俺のことを好きなんじゃないか?
なんて知ってる人、誰もが思っていただろう。
 でも、美保が何で俺のことを好きなのかは、まったくわからない。
 結局、俺はそのまま帰ってきた。
はぁ〜、ベットに横たわりながらため息がでる。
「瑠璃のバカ!私先帰る」
「美保!」
美保が泣いて、それを瑠璃さんが追い掛ける。
すでに、その場は歓迎会どころではなくなった。
「何か盛り下がっちゃったね」
「どーする?」
女子達はザワザワ相談しだす。
何がどーするだよ。
歓迎会どころじゃないだろ。それを口に出そうとしていると、横にいた由香はスッと彼女達に近寄ると
「今日は帰りましょ?美保さんがあの状態じゃ仕方ないわ」
その場をなだめた。

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